淋病治療の全体像|点滴の回数や期間、費用など詳しく詳細解説

淋病 治療

淋病の治療がどんなものでどうなるか知らない。

淋病に感染した、もしくは感染の疑いがあるという方は、その治療について気になるのではないでしょうか。

淋病を含め、性病には性器だけでなく全身に症状が現れることがあり、無症状の場合も少なくありません。気づいた時には自身が淋病に感染しているなんてこともしばしば起こり、治療を余儀されなくなることも。

ただその際に、治療期間や治療費、治療方法など、淋病治療の全体像が気になると思います。
本記事ではそんな方のために、「ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前」院長であり泌尿器科専門医かつ性感染症認定医である坂東が

  • 淋病とは
  • 淋病治療の流れ
  • 淋病の治療方法と期間
  • 淋病治療にかかる費用

などについて詳しく紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

他にも性病の検査費用は?安く手軽な検査方法や治療法について気になる方はこちらの記事も合わせてご覧ください。

1、淋病とは

淋病とは、淋菌という病原菌による性感染症の一つです。淋菌は性行為を通して、人から人へ感染を繰り返しています。

潜伏期間が2〜7日間あるので、原因になるような行動があってから感染初期までには無症状のことも多いですが、粘膜に感染することかからとても感染しやすい性病です。

淋病の詳しい症状については次章で解説します。

2、淋病の症状

淋病の症状は、男女によって大きく症状に差が現れます。ここでは男女別々の症状と男女ともに起こりうる症状についてそれぞれまとめました。

(1)男性の場合

淋病は男性の症状が女性と比較して重たいと言われており、具体的には以下のような症状があります。

①淋菌性尿道炎

排尿の時の痛みを感じる症状が現れます。性行為による感染から2~7日の症状のない潜伏期という期間を経て、尿道炎症状と呼ばれる症状が現れます。排尿痛や尿道分泌物が出現する。

②前立腺炎

前立腺炎では、残尿感や排尿障害などの症状を自覚することがあります。さらに、発熱などの全身症状をきたします。次に説明する、精巣上体炎を伴うこともあります。

③精巣上体炎

尿道の途中には射精管があります。尿道は精管を通して、精巣上体まで続いているので、尿道炎に続いて、細菌が精巣上体にまで及ぶことで精巣上体炎に発展します。精巣上体炎に発展すると、陰嚢の腫脹と、疼痛はほとんど歩行することができないほどの痛みの症状になることもあります。

(2)女性の場合

女性の初期の症状にはおりものの変化や異常を自覚することから始まりますが無症状であることが多いです。無症状でも感染していることに気がつかずに、パートナーや性交渉をした相手に感染させてしまっているケースもあります。
症状が出る場合は、主に以下のようなものがあるので確認してみてください。

①子宮頸管炎

治療をしないと子宮頸管炎という状態になります。男性に比較して症状が乏しいことがある。帯下の増量や不正出血などの主な症状がありますが、無症状の場合もあるようです。

②骨盤内炎症性疾患

淋病や子宮頸管炎症を治療せずにいると、菌が体内の子宮、卵管、卵巣などへと波及することで子宮付属器炎(卵管炎、卵巣炎)や、骨盤腹膜炎等を発症することもあります。骨盤内炎症性疾患に発展してしまう可能性もあります。下腹部痛や下腹部圧痛、子宮や付属器の圧痛などが現れ、全身の体温が38度より上昇することもあります。

(3)男女ともに

また、男女で共通して起こる可能性のある症状もあります。

①淋菌咽頭炎

男女ともに、オーラルセックスをすることで、咽頭に淋菌が感染する可能性もあります。性器の淋菌感染者の10~30%ほどが咽頭から淋菌が検出されていますが、無症候性のものが圧倒的に多いのです。実際に淋菌が咽頭に感染しても、少し喉がイガイガする、喉に違和感を感じると言った曖昧な症状のみであることも少なくありません。

②淋菌直腸炎

アナルセックスなどでは、淋菌が直腸に感染することもあります。直腸炎は、男性同性愛者(MSM)や、コンドームを使用しないで異性間性交渉の肛門性交渉などが原因で直腸や肛門に淋菌が感染することで起こります。この場合には、淋病の症状が直腸炎として現れます。淋病による直腸炎は激しい痛みを伴い、排便時や肛門性交の時に強い疼痛を感じるようになります。

③播種性淋菌感染症

菌血症という全身性の淋菌感染症を播種性淋菌感染症と言います。
血管内に淋菌が入り込み、発熱や倦怠感、関節の痛みなど全身の症状が現れます。皮膚にも症状が現れることがあり、手や足の先に膿疱性皮膚病変が現れることがあります。心膜炎や心内膜炎のような心臓の病気や髄膜炎や肝周囲炎などの症状も起きることがあります。

④淋菌結膜炎

淋菌結膜炎や淋菌に感染している妊婦が出産をすると、出産の時に、淋菌が新生児に感染して化膿性結膜炎(膿漏眼)を発症してしまいます。

淋菌結膜炎は成人でも起きる可能性はあります。例えば、感染している粘膜に触れた手で目をこすると、淋菌の眼への感染が成立します。淋菌結膜炎は手で直接触ることで感染するので、両目よりも片目のみで起きることが多くみられるという特徴があります。

症状は眼瞼浮腫や結膜浮腫、そして膿性の滲出物などがあり、感染後12~48時間で発症します。合併症として角膜の潰瘍や膿瘍、穿孔、全眼球炎や失明などの危険性もある大変恐ろしい重篤な症状です。

⑤不妊

淋菌の症状により男女ともに、不妊になってしまう可能性もあります。

男性の場合、淋病の症状が進行するにしたがって、精子を運ぶ管が分泌された膿などで閉塞してしまうと、精子を射精することができず、子どもを授かることが難しくなります。

女性の場合も、子宮頸管炎などを無治療で放っておくと不妊や子宮外妊娠の危険性が高くなります。症状がないからと言って、治療をしなくても良いということにはなりません。少しでも心当たりがある場合には、病院や保健所に相談してみましょうね。

3、淋病治療の流れ

これって淋病?と感じたら、まずは症状の確認と検査を行いましょう。
病院や保健所でどのような検査をするのか、その流れをまとめました。

(1)まずは症状を確認する

性行為などにより、自分に淋病の不安を持ったときにはまずは症状を確認しましょう。

  • いつから症状が出ているのか?
  • どこに症状が出ているのか?
  • 症状の経過
  • 女性の場合、月経や妊娠についてはどうか

などを確認するようにしましょう。
淋病の症状については5章にて後述しているのでそちらをご覧ください。

(2)専門機関で検査するor検査キットを利用する

検査や診察を受けるためには、保健所や医療機関を受診する必要があります。

①保健所で検査を受ける

全国の保健所では、匿名で、エイズ検査を受けることができます。ただ、クラミジアや梅毒、淋菌感染症は、検査を受けることができる所とできない所があるので、検査を希望する保健所にはあらかじめ確認をすると良いでしょう。もし、保健所での検査が陽性であった場合には、治療するための病院やクリニックを紹介してもらいましょう。

②医療機関で検査を受ける

医療機関を受診する場合には、男性は泌尿器科が、女性は産婦人科にて診察されることが多いです。女性の場合には、女性医師を指定することができる医療機関もあります。もし男性の医師に診察されることに抵抗がある場合は、予め女性の医師による診察が可能かどうかを確認しておきましょう。

③検査キットを利用する

上記以外にも検査キットを利用するという方法があります。
検査キットには、クラミジアや淋病の原因となる菌を増殖して調べるなど、高精度な検査方法で自身が性病に感染しているかを調べることができます。
また、「検査キットを利用したいけど、家に届くと家族やパートナーにバレるのでは?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、匿名で検査を申し込むことができる他、検査キットの受け取り場所も指定することができます。
検査にあたって周りの目が不安だという方はぜひ利用してみても良いでしょう。

(3)淋病の検査方法

具体的に淋菌の検査には、

  • 尿検査
  • PCR検査
  • 血液検査

を行うことが一般的です。尿道からの分泌物や咽頭拭い液、女性ならば膣の拭い液や、直腸への感染を疑われる場合には、直腸周辺の拭い液を検査に用います。

①尿検査

尿を使って検査をします。尿検査を行う場合には、尿カップにトイレで採尿する検査です。尿道分泌物からのグラム染色によって、淋菌が存在するかを簡単に調べることができます。尿道分泌物の中にグラム陰性球菌である淋菌の特徴的な細菌を見つけた場合には、薬による治療を行います。
また、治療と並行して、採取した尿道分泌物を培養してどのようなお薬がその細菌に効果的なのかを調べるための薬剤感受性試験を行います。

②PCR検査

PCR検査は、淋菌やクラミジアなどの遺伝子を増幅させる検査で、菌が存在するかどうかを調べる検査方法です。精密な検査で2~4日ほどで結果を確認することができます。

子宮頚部への感染を疑う場合には、内診で子宮頸部を綿棒でこすって検体を採取します。検査と聞いて、少し身構えてしまうかもしれませんが、この検査で痛みを感じることはほとんどありません。

女性がこの検査を受ける場合には、生理などで出血をしている時と、菌が見つからないことがあるため、検査には向かない時期ですので注意が必要です。

③血液検査

性感染症の検査をする場合、血液検査を一緒に行いますが、血液検査はクラミジアや淋菌には向いていません。これは、梅毒やHIV、肝炎ウイルスなどは血液検査にて診断することを目的に行われています。
淋菌やクラミジアは血液中に紛れることは少ないので、血液検査から感染の有無を確認することは難しいですが、HIVや梅毒、肝炎ウイルスなどの感染があるかが疑われる場合には、血液検査も行われます。

4、淋病の治療方法と期間

(1)淋菌の治療方法

現在、淋病の治療方法として有効なのは、

  • セフトリアキソンという抗菌薬を静脈に点滴をする方法
  • スペクチノマイシンという抗菌薬を筋肉注射する方法

の2種類が挙げられます。

スペクチノマイシンが、咽頭の感染に対して効果が劣るために、セフトリアキソンの静脈点滴が推奨されています。お薬によってはアレルギーを持っている人もいます。セフトリアキソンのようなセフェムという種類のお薬にアレルギーのある場合には他の抗生物質を考えなくてはいけません。

(2)淋病の治療期間

クラミジアなどの合併症がない場合には、治療にかかる時間は病院内での30~60分ほどの点滴が1回だけの治療で基本的には終わります。

1回の薬投与で十分な理由は、淋菌の治療は薬の濃度によって、効果が決まるというです。淋菌の治療は薬物の濃度依存的に作用することが知られています。つまり、一定以上の濃度の薬物を投与すると治療効果があるということです。一方で、薬の濃度が低いものを長期間飲む投与方法では淋菌の治療には一向に効果がありません。このような理由で、淋菌のみの治療の場合には通常は一回の治療で終了になるのです。

病院毎に推奨される一定の期間を空けて、淋菌が陰性になっていることを確認すると、治療が終了します。

(3)淋病治療の問題点

耐性菌が現れていることが淋菌の治療の大きな問題点です。抗菌薬に対して治療抵抗性が現れている。正しい治療が必要である。淋菌による治療は時代によって変化してきました。今までに淋菌に対して、効果のあったお薬が効かなくなってしまう耐性菌の出現という現象が起きてしまっているからです。

淋菌はかつて、ペニシリンというお薬で治療がされていましたが、もはや大部分の淋病では、ペニシリンが無効になってしまっています。また、テトラサイクリンやニューキノロン系抗菌薬という淋菌に効果的だったお薬も今では耐性菌が出現しています。テトラサイクリンやニューキノロンに対する耐性率は、いずれも70~ 80%となってしまっているのです。

5、淋病治療にかかる費用

淋病にかかる費用は、診察代と検査費用を合計して3000~4000円ほどです。クリニックや病院によって検査方法が変わりますので、一概にどのくらいということは言明できませんが、保険を利用した治療をした場合には、このくらいの費用であると考えていると良いでしょう。

保険を使用しない、自由診療という方法で診断と治療を受ける場合には、3割負担ではなくなってしまうので、費用は全額自己負担になってしまいます。

6、そもそも淋病の原因や感染経路って?

そもそも淋病にはどのようにして感染するのでしょうか。
性行為以外にも感染経路があるのか紹介します。

(1)淋病の原因

淋病の原因の淋菌は性行為によって感染をおこします。原因である淋菌はとても環境の変化に弱い菌です。淋菌は弱い菌で、患者の粘膜から離れると数時間で感染性を失い、日光、乾燥や温度の変化、消毒剤で簡単に死滅します。そんな淋菌でも、性行為などの時に、人と人の粘膜が直接触れ合うことで感染が成立するのです。

性行為の時に、患者の性器の粘膜から相手の性器の粘膜に感染することが主な経路ですが、オーラルセックスやアナルセックスなどの多様な性行為によって、どの行為が感染に繋がるのかはそれぞれ違います。

例えば、咽頭に淋菌が感染しているが、症状は出ていない女性とオーラルセックスを行うと、咽頭から性器へと感染が広がります。特に女性の場合は症状が現れないままに、感染しているケースが多いです。症状がなくても咽頭のなかにウイルスが感染している状態でオーラルセックスをすると、咽頭から尿道への感染が起こることもあります。

妊娠しないからといって、コンドームをつけずにアナルセックスをすると、性器から直腸肛門に淋菌が感染することもあります。性器に突っ込んだ手で口や目のような粘膜に触れてしまうとそこで感染が成立してしまうこともあります。

(2)キスで淋病は感染する?

一般にキスからは淋菌が感染することはないと言われていますが、一方で、タオルや衣類からも感染する可能性はあるとも言われています。

男性の感染の6割は風俗から淋菌を感染すると言われています。風俗以外でも4割の男性が、性行為によって淋菌に感染していることが明らかになっているので、風俗ではないから安全だというような固定観念は避けるようにしましょう。淋病は身の回りにあるごくありふれた恐ろしい病気の1つだということを忘れないようにしましょう。

7、淋病の予防方法

淋病を予防するための、予防接種はありません。さらに、淋病に一度罹患してしまったとしても、繰り返し感染する可能性もあります。淋病は一度発症して抗体ができて、二度と起きないという病気ではないのです。つまり、しっかり淋病の予防をして、感染を繰り返さないことが大事ですね。

淋病を予防するためには、コンドームをつけることが大切です。コンドームを使う目的として、避妊だけでなく、性感染症を予防することもあります。オーラルセックスや肛門性交など妊娠をする行為でなくても、コンドームをつけないと、淋病のような性病を予防することができません。

また、無症状で感染している場合があるので、不特定の相手との性的接触をしないことや、もし、複数の性的なパートナーがいる場合にも、しっかりと定期的な検査を受けることが感染の拡大を防ぐためにも必要です。

お互いにパートナーやお相手の身を守るために気をつけなくてはいけないということですね。

まとめ

今回は、

  • 淋菌についての症状と、
  • 治療までの流れ

を具体的にまとめました。性感染症は他人事ではありません。誰もが感染する可能性のあるものです。しっかりと知識を身につけて、感染したのなら、しっかりと治療を、予防をすることを心がけましょう。

治療の判断は、お医者さんとしっかりと相談した上で進めるようにしましょう。自己判断は危険です。1人で悩まず、まずは相談することが大切です。

記事監修

坂東 重浩ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前 院長
東京慈恵会医科大学での泌尿器科診療をはじめ、内科や、腹腔鏡手術や内視鏡手術などの先端医療、皮膚科専門医の指導を受け皮膚科疾患診療にも従事。

〈資格〉日本泌尿器科学会 専門医・指導医/日本がん治療認定医/日本性感染症学会 認定医/日本医師会認定 産業医/泌尿器腹腔鏡技術認定医/難病指定医/緩和ケア研修終了/ 〈所属学会〉日本泌尿器科学会/日本内科学会/日本皮膚科学会/日本透析医学会/日本性感染症学会/日本泌尿器内視鏡学会/

http://bando-clinic.com/

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