カンジダとは?感染者数や経路、女性の5人に1人がかかる病気

カンジダ 感染

おりものの量が増えてなんだかチーズみたい、陰部がかすごくかゆいといった症状は性器(膣)カンジダの可能性があります。
「カンジダって聞いたことあるけど、性病としてはクラミジアや淋病などが一般的で、あまり感染しないんじゃないの?」と思っている方、そんなことはありません。

本記事では、少しでもカンジダに感染したかもという不安がある方のために、

  • カンジダの感染者数の推移と現状
  • カンジダの症状とは?感染したら気付くのか
  • カンジダの感染経路
  • カンジダに感染した時の対処法
  • カンジダ感染の予防法

などについて、「ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前」院長であり泌尿器科専門医かつ性感染症認定医である坂東が解説いたします。

1、カンジダの感染者数の推移と現状

(1)カンジダの感染者数

厚生労働省による患者調査によると、平成29年のカンジダ症の推計患者数は6万6千人です。
平成14年には14万3千人を記録しており、年々減少傾向にあります。
平成29年の性器クラミジアの感染者数が24,825人となっているため、カンジダはずいぶん感染者が多いという印象を持つかもしれません。
出典:平成29年度(2017)患者調査の概況|厚生労働省

(2)性器以外にもカンジダに感染する?

しかし、カンジダと一言に行っても実は性病とは限らず、性器以外のあらゆるところに感染する病気です。
患者調査による6万6千人はあらゆるタイプのカンジダ患者数総計になります。
性器に感染したカンジダ患者の感染者数は定かではありません。

(3)カンジダ菌について

カンジダは性病という限定された枠で捉えることが難しい病気です。
他の性感染症と違い、必ずしも性行為で感染するとは限りません。
なぜなら、カンジダ菌はもともと誰もが体内に持っている可能性があるからです。

カンジダ菌は真菌と呼ばれるカビの一種です。
真菌は主に人間の体表や体内に寄生して生活しており、健康な状態であれば特に悪さをすることがありません。

しかし、傷口から体内に侵入したり、不規則や不摂生な生活もしくは病気で免疫が落ちると、真菌が増殖し症状が発生することがあります。
カンジダ症以外には水虫も真菌による病気です。

(4)超耐性菌|カンジダ・アリウス

最近、カンジダで話題になったのはカンジダ・アウリスという超耐性菌です。
これは性器カンジダではありませんが、あらゆる薬剤に耐性を持つ真菌で、医療現場で大きなリスクとなっています。
特徴としてはシーツやベッド、手すりなどに付着し長期間生存できるため、多くの人が活動する病院内での感染リスクは避けられません。
さらに、カテーテルや流動食等の医療器具に付着するとたやすく体内に進入してしまいます。
この菌は超耐性菌と言われる通り、既存の抗菌薬があまり効果がありません。

他の性感染症の病原菌の場合、人間の粘膜を離れると即死滅してしまうものがほとんどです。
しかし、カンジダのような真菌は生命力が高く、性行為以外の日常生活でも感染・発症リスクがあるため気をつけましょう。
より詳しいカンジダの感染経路については、3章で説明しているのでそちらをご覧ください。

2、カンジダの症状とは?感染したら気づくのか

性器カンジダは女性に多い病気で、5人に一人が経験しているという調査結果が出ています。
女性の場合は膣カンジダという呼び方が一般的です。

(1)女性の症状

症状ははっきりしており、強いかゆみやおりものの急増、カッテージチーズや酒粕のようなおりものが出るなどの特徴があります。
他の性感染症に比べると女性でも感染・発症がわかりやすいといえます。

(2)男性の症状

男性の場合は亀頭のかゆみやただれ、カスが増える、水泡ができる、尿道炎などが起こります。

(3)発症すれば症状に気付きやすい

カンジダは発症すれば症状が出やすいので、感染していることに気づきやすい性感染症です。
ただし、感染していても発症するとは限りません。
カンジダのような真菌は人間の体表や体内に寄生していることが多く、健康な状態であれば症状を引き起こす可能性は低いです。
体が弱った時に悪さをするのがカンジダ菌なのです。

3、カンジダの感染経路

カンジダの感染経路は大きく分けて二つあります。
もともと体内にいるカンジダ菌が体が弱った時に活発に活動をすることで感染がわかるパターン。
もう一つは症状が出ている際に性行為などを通して他人の傷口や粘膜から感染するパターンです。

(1)免疫力の低下

一つ目のカンジダがもともと体内にいるパターンでは、免疫力の低下によってカンジダ菌が増殖し、前述したような症状を引き起こします。
免疫力の低下は不規則や不摂生な生活が引き起こすため、仕事が忙しくて睡眠不足だったり、ジャンクフードや飲酒ばかりの食生活だと、カンジダ発症の可能性も上がります。

(2)糖尿病

また、糖尿病患者もカンジダの発生リスクが高いです。
理由は、尿に糖分が多く含まれているとカンジダ菌が栄養にするため繁殖しやすくなるため。
そのため、デリケートゾーンの湿気をさけ、通気性をよくして乾燥させておく等の対策も重要です。

(3)性行為等

他人から感染するパターンに関しては、性行為等の肌や粘膜の接触が経路としては多くなります。
性器カンジダに感染している人との性行為を避けることが重要ですので、特に不特定多数との性行為には十分に気をつけましょう。

4、もしかして感染してる?カンジダの症状が出た時の対処法

本記事で紹介したカンジダの症状が出た場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
まずは、検査を受けてカンジダに感染しているかを確かめ、その後治療を受ける必要があります。
詳しく見ていきましょう。

(1)カンジダに感染しているかを確かめる

まずは本当にカンジダに感染しているか確かめるため検査を受けましょう。
検査には大きく分けて2つあり、医療機関に出向き検査を受ける方法と自宅で郵送の検査キットを受け取り使用する方法があります。

①医療機関で検査を受ける

カンジダ検査を受けられる医療機関には2つあります。
一つ目は保険適用の病院です。
検査費用の目安は1,000〜2,000円。経済的負担が軽いのがメリットですが、自宅や職場に知られる可能性があるというデメリットもあるでしょう。


二つ目は保険適用外の病院で自由診療を受けるという選択肢です。
周囲にバレる可能性はほぼありません。
しかし、自由診療の場合費用は患者の全額負担であるため、カンジダの検査費用は7,000〜15,000円ほどかかってしまいます。
自由診療の場合は事前にいくらほどかかるのかチェックしておきましょう。
他の性感染症では無料で検査を受けることができる保健所ですが、カンジダは適用外です。

②自宅で検査キットを使用する

検査キットを利用するメリットは、費用を抑えて誰にもばれずにカンジダの検査を受けられることです。
検査費用は4,000〜6,000円程度で、検査キットは保険適用外なので、医療費のお知らせが家や職場に届くこともありません。
さらに、郵便局留めで受け取ることもできることが多いです。
申し込んでから1〜2日で届き、検体を返送してから約1週間で結果をスマホで見ることができます。検査キットが届いたその日に返送すれば1週間程度で、カンジダ陽性かどうかわかるでしょう。

(2)カンジダに感染していたら治療を受ける

カンジダの感染が確定したら病院で治療を受けましょう。
治療は投薬で行われます。カンジダに罹患している部位によって処方は異なり、膣に入れる膣錠、皮膚に塗る軟膏、内服薬のいずれかが処方されます。

治療期間は約1週間とそれほど期間は要しません。
カンジダであることが確定しても、あまりナーバスにならずに素早く治療を始めることが大切です。

カンジダは他の病気と違い、市販薬も大手製薬会社から発売されています。
しかし、最初の罹患の場合は自己判断で市販薬を買わずに、医師の診察を受けることが大切です。
再発した際にカンジダであることが確かであれば市販薬を用いてもよいでしょう。

カンジダの治療で大切なのは治るまで治療を続けることです。
治療をを続けるうちにおりものが正常に戻ったり等、治ったかもと思わせる状態になりますが、単に症状が軽くなっただけの可能性があります。

(3)カンジダは治療で完治するのか

カンジダは薬の服用によって完治する病気です。
しかし、そもそもの性質が人体に寄生して生活している真菌であるため、全てを死滅させることができずに再発を繰り返すケースがあります。

カンジダを再発させないためには、普段の体調管理が大切です。
まずは生活習慣を見直しましょう。
睡眠をしっかりとり、栄養バランスの整った食事を心がけましょう。毎日寝不足、食事は油っぽいものばかりで野菜なしのような生活では、カンジダが再発しやすいです。

5、感染しないことが一番!カンジダの感染を予防するには

体にカンジダがもともといるケースではある程度仕方ありませんが、そもそもカンジダに感染しないためにはどうしたら良いのでしょう。

(1)コンドームの着用

まずはカンジダに感染している相手と粘膜の接触を行わないことが大切です。
性行為を行う際にはコンドームを着用すること、また不特定多数との性行為には慎重になる必要があります。

カンジダに感染したからといってすぐに症状が出るとは限りません。
体の免疫力が下がった時に発症するため、いつ誰から感染したか知ることは不可能ですし、もともと自分が保有していたのかもしれません。
しかし、リスクをなるべく減らすためにはカンジダ菌をもらいやすい性生活は避けるべきです。

(2)デリケートゾーンは清潔に

デリケートゾーンを清潔に保つことも心がけましょう。
真菌であるカビはジメジメしたところや通気性が悪いところに繁殖するイメージがありますが、カンジダ菌も同様です。
下着が湿っていたり通気性が悪いとカンジダが発症するリスクは上がります。
下着はこまめに変えるようにし、性行為の後には陰部を洗い乾かしましょう。

(3)お尻の吹き方

また、お尻の拭き方もカンジダ発症リスクを下げます。
腸内にはカンジダ菌が生息している可能性が高いため、大便が膣に付着するような拭き方は避けましょう。
つまり後ろに向かって拭き取ることが大切です。

まとめ

カンジダは他の性感染症とは異なり、性行為以外での発症可能性があります。
しかも菌自体の生命力も他の性感染症の菌より強いため、慢性化するケースあるでしょう。

しかし、カンジダ菌の性質上、うまく付き合っていくことを考えて生活をする方が前向きです。
バランスの良い食事をし、ストレスや疲労を溜めない生活です。
また、デリケートゾーンを清潔に保つなど、普段の生活習慣を改善することがカンジダに活動する隙を与えないことにつながります。

もしカンジダに感染しても、「性病にかかってしまった」とナーバスになる必要は一切ありません。誰でも持っている可能性のいる菌が悪さをしただけと考えればよいです。

女性の5人に1人が発症するカンジダですので、もし怪しいと思ったら検査を受けましょう。

記事監修

坂東 重浩ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前 院長
東京慈恵会医科大学での泌尿器科診療をはじめ、内科や、腹腔鏡手術や内視鏡手術などの先端医療、皮膚科専門医の指導を受け皮膚科疾患診療にも従事。

〈資格〉日本泌尿器科学会 専門医・指導医/日本がん治療認定医/日本性感染症学会 認定医/日本医師会認定 産業医/泌尿器腹腔鏡技術認定医/難病指定医/緩和ケア研修終了/ 〈所属学会〉日本泌尿器科学会/日本内科学会/日本皮膚科学会/日本透析医学会/日本性感染症学会/日本泌尿器内視鏡学会/

http://bando-clinic.com/

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