カンジダの症状についてご存知でしょうか?
「なんだか最近デリケートゾーンに痒みがある。
おりものの様子もいつもと違う」と感じた方はカンジダに感染しているかもしれません。
カンジダは女性の患者が多い性感染症で、症状が非常に分かりやすいのが特徴です。
しかし、具体的にカンジダの症状について理解している人は少ないでしょう。
そこで本記事では、
- カンジダの症状
- カンジダの現状
- カンジダの症状を放置したらどうなるのか
- カンジダの症状が出た時にしてはいけないこと
- カンジダの症状が出た時にやるべきこと
について紹介します。
1、カンジダの症状
カンジダは、かゆい、痛い、汚れるといったわかりやすい症状が男女共にでます。
女性と男性別の症状の特徴について知っておきましょう。
(1)男性に生じる症状
男性は主に性器に症状が出ます。
女性に比べるとやや症状は軽いです。
- 軽い痛みやかゆみ
- 亀頭や陰茎から白いカスがたくさん出る
- 亀頭が赤くただれる
糖尿病や包茎の人に症状が出やすい傾向があります。
(2)女性に生じる症状
女性の場合は膣カンジダという呼び方をし、膣内や外陰部に症状が出ます。
- 強い痒みを感じる
- カッテージチーズ状や酒粕状のおりものが大量に出る
- 排尿時に痛い
- 性交痛がある
ほとんどの場合、外陰部のかゆみとおりものの異常のいずれか、もしくは両方が発生します。
2、カンジダ症の現状
カンジダ症は、女性の5人に1人が発症していると言われる性感染症です。
他の性感染症とは性質も感染経路も異なる部分が多く、慢性化する可能性もあります。
そんなカンジダ症の現状についてみていきましょう。
(1)カンジダの感染者数
カンジダ症は正確には性感染症とは限りません。
性器以外に感染しているカンジダ症も多いからです。
例えば、高齢者に多いのは口の粘膜や舌などに感染する口腔カンジダ症 。
他にも、通気性の悪い手足の指の間や脇の下などに感染する皮膚カンジダがあります。
平成29年の厚生労働省の患者調査では、こうしたあらゆるカンジダ症患者の推計患者数が6万6千人です。性感染症としてのカンジダ症だけの患者数は出ていません。
ちなみにカンジダ症感染者のピークは平成14年の14万3千人となっており、現在では半分程度にまで減少しています。
(2)カンジダの感染経路
カンジダは、他の性感染症のように性行為で感染するとは限りません。
人間の粘膜を離れるとすぐ死滅してしまうような弱い菌でもありません。
この特徴が多様なカンジダ症の患者を生み出しています。
そもそもカンジダ菌とはどのような菌なのでしょうか。
実は、カンジダとは真菌と言われるカビの一種です。人の体にカビが生えるのかと驚くかもしれませんが、水虫も白癬菌と言われる真菌が引き起こす病気です。
①免疫力の低下
そして、この真菌たちは人の体に寄生して暮らしています。
体表や腸管などに暮らしていますが、人が健康な状態であれば悪さをすることはありません。
ところが、疲労やストレス、バランスの悪い食生活や睡眠不足などで免疫力が下がると、真菌は活発に活動を開始します。
カンジダをもともと体内に保有している人であれば、外からの感染ではなくとも何かのタイミングで発症してしまうのです。
カンジダ菌をもともと体内に保有している人がどの程度いるかはわかっていませんが、女性の5人に1人がカンジダ症を発症するというデータがあります。
子供の頃に住み着いたカンジダ菌が大人になってから何かのタイミングで悪さをすることも十分に考えられるため、正確な感染経路やタイミングを突き止めることは困難です。
②性行為
もちろん、すでにカンジダに感染している人から性行為で感染する可能性は高いです。
カビはジメジメして通気性が悪いところを好みますが、それはカンジダ菌も同じ。
下着のような湿りやすく密閉されている場所はカンジダ菌にとって最高の環境です。
③抗真菌薬が効きにくいカンジダも
また、カンジダは生命力が強い菌でもあります。
性器のカンジダではありませんが、近年発見されたカンジダ・アウリスは、抗真菌薬が非常に効きづらく、人間の体を離れても長時間生き続けることができる超耐性菌です。
医療現場において感染拡大のリスクが大きく懸念されています。
まとめるとカンジダの感染・発症経路は2つあります
- もともと自分の体内にいたカンジダ菌が発症した
- 性行為等で感染・発症した
発症した時点では上記のどちらかはわかりません。
カンジダと思しき症状が出た場合は5章を参考に、カンジダの症状が出た時の対処法を元に行動するのが良いでしょう。
3、カンジダの症状を放置し続けるとどうなるのか
続いて、カンジダを発症しても放置し続けるとどうなるのかについて説明します。
(1)放置で症状は治ることがある
カンジダは放置をしていても症状が治ることがあります。
しかし、これは自然治癒したわけではありません。
カンジダ症は体が弱り免疫力が下がった時に症状が現れます。
これを日和見菌感染症といい、体調が戻ると症状も治るのです。つまり、症状は治っても体内に菌はあり続けます。
自然治癒する可能性はゼロではありませんが、体内のカンジダ菌が全て排出される確率は極めて低いです。
(2)免疫力低下の度に発症する
体内からカンジダ菌がいなくならない限り、疲労やストレス、生活が不規則になるたびにカンジダの症状が出ることになります。
さらに、カンジダの症状が出るたびに繰り返し掻きむしることによって、痒みが出る範囲が広がり悪化しやすくなります。
(1)母子感染の可能性も
女性の場合は出産時に赤ちゃんにうつる危険性もあります。
不妊治療時の採卵や胚移植を行う際に体内にカンジダ菌が入ると、骨盤腹膜炎や子宮内感染を引き起こします。
カンジダは放っておいても治ると思わずに、治療を受けましょう。
4、カンジダの症状が出たときにしてはいけないこと
カンジダの症状が出たときには、日常的に行っている行動でも気をつけなければなりません。
どのような点に気をつけて毎日を過ごせば良いのでしょうか。
(1)ビデやタンポンの使用について
カンジダの治療は薬で行われますが、膣に入れるタイプの薬や外陰部に塗る薬が処方されます。
薬をせっかく使ってもビデやタンポンを使用することで薬がとれたり流れてしまう可能性があります。
生理中のカンジダ治療の場合は、医師に相談しましょう。
(2)性行為は避ける
カンジダの症状が出ている時の性行為は、パートナーに移す可能性があるので避けましょう。
コンドームを使用していても同じです。
(3)タオルの共用はしない
カンジダ菌は非常に生命力が強いため、人体を離れタオルに付着してもしばらく生きています。
家族に感染させないためにも別のタオルを使いましょう。
(4)洗い過ぎに注意
カンジダの症状が出ると「不潔は良くないのでは」と考え、普段より念入りに洗いたくなるでしょう。
しかし、洗いすぎは炎症の元になりますし、擦ることで刺激が与えられ症状が悪化する危険性があります。
(5)下着は清潔に
カンジダは通気性が悪く湿気が多いところを好むカビの一種です。
カンジダ発症中は、特に下着の清潔さには気を配りましょう。
汚れた下着を長時間つけていることも症状の悪化の原因となります。
5、カンジダの症状が出たときにやるべきこと
カンジダの症状が出たら、
- パートナーに報告する
- 検査によりカンジダかどうか調べる
- 治療を受ける
の3ステップが必要です。以下で詳しくみていきましょう。
(1)パートナーに報告
自分がカンジダに発症したならば、高確率でパートナーも感染してる可能性があります。
カンジダはそもそもお互いが保菌者だった可能性が高いため、いつどこで誰が移したかはわかりません。
お互いがカンジダに感染していないか確認することは非常に大切です。
感染の繰り返しを避けるために、必ずパートナーに報告しましょう。
(2)検査をする
カンジダを疑ったら、検査を受けて陽性か陰性かを確認しましょう。
検査方法は大きく分けて2つあります。
①医療機関で検査を受ける
カンジダ検査を受けられる医療機関には2つあります。
一つ目は保険適用の病院です。
検査費用の目安は1,000〜2,000円。
経済的負担が軽いのがメリットですが、自宅や職場に知られる可能性があるというデメリットもあるでしょう。
二つ目は保険適用外の病院で自由診療を受けるという選択肢です。
周囲にバレる可能性はほぼありません。
しかし、自由診療の場合費用は患者の全額負担であるため、カンジダの検査費用は7,000〜15,000円ほどかかってしまいます。
自由診療の場合は事前にいくらほどかかるのかチェックしておきましょう。
他の性感染症では無料で検査を受けることができる保健所ですが、カンジダは適用外です。
②自宅で検査キットを使用する
検査キットを利用するメリットは、費用を抑えて誰にもばれずにカンジダの検査を受けられることです。
検査費用は4,000〜6,000円程度で、検査キットは保険適用外なので、医療費のお知らせが家や職場に届くこともありません。
さらに、郵便局留めで受け取ることもできることが多いです。
申し込んでから1〜2日で届き、検体を返送してから約1週間で結果をスマホで見ることができます。検査キットが届いたその日に返送すれば約1週間程度で、カンジダ陽性かどうかわかるでしょう。
(3)陽性であれば治療を
検査の結果、陽性であるならば治療を受けましょう。
①治療は投薬
カンジダの治療は投薬で行われます。
内服薬、膣薬、塗り薬の何かもしくは全てが処方されるので、医師から完治の判断が下されるまで治療を続けてください。
②完治しない場合も
治療をしても体内のカンジダを完全に死滅させることはできない可能性があります。
長く付き合っていかなければいけない可能性はありますが、他の性病と比べて症状自体はそこまで重くありません。
うまく付き合って生きていくことを考えた方がいいでしょう。
③2回目以降は?
カンジダの塗り薬は市販もされていますが、感染した症状がカンジダとは限りません。
カンジダの再発かな?と思って市販の治療薬で済ませるのはあまりおすすめしません。
カンジダ以外の性感染症にかかっている可能性もあります。
まとめ
カンジダは女性が非常に発症しやすい病気です。
症状はそこまで重くないとはいえ、周囲にうつす事は避けなければなりません。
パートナーとの性生活の質を落とさないためにも、しっかり治療を受けることが必要です。
また、そもそも発症しないために普段の生活習慣を見直すことも大切です。
夜更かし、運動不足、バランスの悪い食生活、過度な飲酒、睡眠不足、ストレスなどはカンジダの大好物。
体内のカンジダにおとなしくしてもらうためには、規則的で健康な毎日を送ることが最も効果的です。
本記事を読んで、少しでも「カンジダかな?」と思ったら、迷わず検査を受けましょう。
記事監修
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東京慈恵会医科大学での泌尿器科診療をはじめ、内科や、腹腔鏡手術や内視鏡手術などの先端医療、皮膚科専門医の指導を受け皮膚科疾患診療にも従事。
〈資格〉日本泌尿器科学会 専門医・指導医/日本がん治療認定医/日本性感染症学会 認定医/日本医師会認定 産業医/泌尿器腹腔鏡技術認定医/難病指定医/緩和ケア研修終了/ 〈所属学会〉日本泌尿器科学会/日本内科学会/日本皮膚科学会/日本透析医学会/日本性感染症学会/日本泌尿器内視鏡学会/
http://bando-clinic.com/
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