不妊の原因はクラミジア?早産や流産、男女共のリスクについて

不妊 クラミジア

クラミジア。実は不妊症の要因となることをご存じでしょうか。
クラミジアが不妊に繋がることは、一般的には広く知られていないかもしれません。
クラミジアを治療せずに放置すれば、不妊症に加えて早産・流産の原因ともなります。

本記事を読むことで、下記の内容を理解することが可能です。

  • クラミジアは妊娠できない原因の一つ、男女に関係がある
  • 完治しないと、早産流産、赤ちゃんに影響する
  • クラミジアが引き起こす卵管障害や癒着
  • クラミジアが引き起こす無精子症
  • クラミジアの男女の一般的症状
  • 郵送検査について

上記内容について詳細を知りたい方は、ぜひ本記事を一読してみてください。

他にもクラミジアに心当たりのない女性が、なぜ性病に感染するのか

女性がクラミジアに感染した時の症状は?病気や治療を徹底解説について気になる方はこちらの記事も合わせてご覧ください。

1、不妊はクラミジア感染が原因で引き起こす可能性がある

不妊はクラミジア感染が原因で引き起こされる可能性があります。
なぜクラミジアが不妊の原因になるのか、性別ごとに詳細を確認していきましょう。

(1)女性の不妊の場合

女性の場合、クラミジア感染が進行すると下記の病気が生じてきます。

  • 子宮頸管炎
  • 子宮内膜症
  • 卵管炎
  • 骨盤腹膜炎
  • 卵管留水腫

上記の病気は、子宮や卵管にトラブルを生じさせるため、卵子・精子の移動が阻害されます。
卵管が狭くなり卵子の通過障害がおこったり、卵子が受精したとしても、受精卵が正常に着床できないことが多いです。

女性の場合、クラミジアに感染しても、大半の方が感染に気付けません。
これはクラミジアの自覚症状が出にくい点が要因になっています。
知らず知らずのうちにクラミジアが進行してしまい、不妊症に繋がる病気を発症してしまうのです。

(2)男性の不妊の場合

男性の場合、クラミジア感染が進行すると「精巣上体炎」を発症します。
精巣上体とは、精巣の外側についている組織です。別名「副睾丸」とも呼ばれています。
副睾丸は、精巣で作られた精子を貯蔵・成熟させる役割を持っており、男性の生殖機能に関わる重要な生殖器官です。

この精巣上体がクラミジアの菌に感染すると、精巣上体炎が発症します。
精巣上体だけではなく、精子の通り道である精管にも炎症が起こり、精管が狭くなり精子が外に排出されにくくなるため男性不妊の原因になりやすいです。

(3)体外受精も困難に

クラミジア感染が進行して、上記に挙げた病気を発症してしまうと、体外受精も困難になります。
体外受精を行う場合、卵子を体外で受精させた後、子宮に受精卵を戻します。
この際、子宮内膜にトラブルが生じていると、受精卵が正常に着床できない可能性が高いです。

特に、「卵管留水腫」と呼ばれる症状が出ていると、妊娠率が大幅に低下してしまいます。卵管留水腫とは、卵管に水が溜まることで生じる腫れのことです。
卵管に溜まっている水が子宮内に流れ込むことで、受精卵が子宮から流されてしまうリスクが高まります。

2、妊娠できたとしてもクラミジアの放置は危険

クラミジアに感染した状態で妊娠できたとしても、安心はできません。
クラミジアを放置することで、早産・流産のリスクが高くなります。

(1)早産、流産

クラミジアの症状が進行すると、子宮内膜症や卵管留水腫が生じてきます。
これらの症状が出てくると、卵子の着床自体が困難になりますが、仮に着床できたとしても安心はできません。
着床した受精卵が、卵管留水腫によって生じた水によって流されてしまったり、子宮内膜で炎症が生じることで、早産・流産が引き起こされやすくなります。

(2)クラミジアは自然完治しない

クラミジアは自然完治することはありません。
抗菌薬の服用でのみ、治療することができます。
稀に「クラミジアが自然に治った」という方がいますが、そのような方の大半は別の病気の治療で抗菌薬を服用しており、間接的にクラミジアにも効果が及んだ可能性が高いです。
早産・流産を防ぐためにも、すぐにクラミジア治療を開始することが重要になります。

3、出産できたとしても、赤ちゃんに影響を及ぼすこともあります

クラミジアを治療せずに放置していると、生まれてくる子供にクラミジアが母子感染してしまう可能性があります。
赤ちゃんにクラミジアを感染させないためにも、早期発見・早期治療が必須です。

(1)結膜炎や肺炎

クラミジアに感染した状態で出産を行うと、産道を通る際に胎児がクラミジアに感染してしまう可能性が高いです。
胎児がクラミジアに感染することで、結膜炎や肺炎を発症してしまい、重篤な場合は生命に関わることもあります。

妊娠後にクラミジアを含めた性病検査は実施されますが、検査タイミングによっては陰性反応が出てしまう可能性も否定できません。
結果的に、出産までクラミジア感染に気付けないこともあります。

4、クラミジアが引き起こす卵管障害とは

女性がクラミジアに感染すると「卵管障害」が生じてきます。
卵管障害は、女性不妊の特設的な原因になりやすいです。
卵管障害がどのような症状であるか、確認していきましょう。

(1)卵管障害とは

卵管は、卵巣から出てくる卵子を運ぶ直径1mmほどの細い管のことで、受精した卵子を子宮へ運ぶ役割を担っています。

クラミジアに感染すると、最初に子宮頸管炎が生じることが多いです。
その後、子宮頸管から子宮内にクラミジアの菌が広がっていき、卵管にまで拡大していきます。
卵管にクラミジアが到達すると、卵管閉塞・卵管狭窄といった「卵管障害」が生じてきます。

卵管障害が生じると、精子が卵子へたどり着くことができません。
もし受精できても、受精卵が子宮へ移動することが難しく、妊娠に至らないケースが多いです。

(2)子宮外妊娠の原因にもなる

卵管障害は、子宮外妊娠の原因にもなります。
子宮外妊娠とは、「子宮以外の部分」に受精卵が着床してしまうことです。
子宮外妊娠が生じやすいのは「卵管」部分になりますが、卵巣・腹腔への着床も多く見られます。

卵管は収縮・拡張を繰り返し行い、受精卵を子宮に運んでいきます。
卵管障害になると、収縮・拡張が正常に行われなくなるため、子宮外妊娠を生じさせてしまうのです。

子宮以外の部分に受精卵が着床しても、胎児は数週間ほどは生存できますが、栄養不足やスペースの不足により、最終的には生存できなくなります。

5、クラミジアが引き起こす無精子症とは

男性がクラミジアに感染した場合、治療せずに放置すると「無精子症」を引き起こすことがあります。

(1)無精子症とは

無精子症とは、精巣部分に菌などが侵入することで精子が正常に作られなく症状です。
クラミジアに感染すると精巣上体に菌が広がり、精子が正常に成熟されなくなります。
また、精巣上体とつながっている精管が閉塞を起こしてしまうこともあり、精子を体外に排出することが困難になります。

精液の中に精子がない状態となるため、結果的に男性不妊の状態になってしまうのです。

6、クラミジアの一般的症状とは

次にクラミジアの一般的な症状について確認していきましょう。

(1)女性

女性の場合、クラミジアの一般的な症状として下記の症状が挙げられます。

  • 子宮頸管炎
  • 不正出血
  • 性交通
  • おりものの増加
  • 下腹部の痛み

ただし、上記症状が出ないケースも多いです。
クラミジアに感染した人の約70%が、クラミジア感染の自覚症状がないと言われています。クラミジア感染に気付けず、症状が進行してしまうことも多いので注意しなければいけません。

上記の症状が少しでも見られたら、性病検査を受けるようにしましょう。

(2)男性

男性の場合、下記の症状がクラミジア感染の初期症状として表れやすいです。

  • 尿道のかゆみ・痛み
  • 排尿痛
  • サラサラした白色の膿が出る
  • 精巣上体が腫れる

上記症状のうち、「さらさらした白色の膿」はクラミジア独特の症状となります。
下着に膿が付着することで、クラミジア感染に気付くケースも少なくありません。

尿道部分にかゆみ・痛みを感じた場合、仮にクラミジアに感染していない場合でも尿道部分にトラブルが生じている可能性が高いです。
症状が悪化する前に、泌尿器科を受診するようにしてください。

(3)自覚症状がなくても保菌している

クラミジアの自覚症状がない場合でも、保菌している可能性は否定できません。
上述した通り、クラミジアは初期症状が出にくい性病でもあります。
特に、女性の場合は通常の生理と症状を判別しづらいため、性病感染の認知が遅れてしまうことが多いです。

自覚症状がないからといって、「クラミジアに感染していない」と決めつけるのは厳禁です。
性病検査を受けて初めて、感染の有無を正確に把握できます。

7、心当たりがある場合、まずは自宅検査がおすすめです

クラミジアの症状が見られたり、過去にリスクのある性行為をした経験ばある場合は、性病検査を受けるようにしましょう。

「性病検査=病院で受ける」と思われている方が多いかもしれませんが、実は「郵送検査」を利用することで自宅にいながら性病検査を行うことができます。

(1)自宅でできる郵送検査とは?

性病の郵送検査とは、専用の検査キットを使って検体を採取して、その検体を郵送する形式の性病検査になります。

「性病検査を受けたいが、平日に病院へ行く時間がない」という方は少なくありません。
次第に病院へ行くのが面倒になってしまい、結果的に性病を長期間放置してしまう可能性も生じてきます。

郵送検査であれば、自宅にいながら好きなタイミングで検査を行うことが可能です。
仕事終わりでも良いですし、土日にゆっくり行っても問題ありません。

検査結果は、郵送から1週間ほどで確認できます。
検査結果を確認するために医療機関へ出向く必要もないので、結果確認の手間もかかりません。
郵送検査は結果表が届くタイプと、ネット上で検査結果を確認するタイプに大別されていますので、利用したい形式を事前に確認しておきましょう。

(2)郵送検査キットの種類

郵送検査キットは、検査対象の性病によって種類が分かれています。
下記、代表的な検査キットの種類となります。

  • 採血セット:梅毒、B型肝炎、HIV
  • 膣分泌液採取セット:性器クラミジア、性器淋菌、カンジダ、膣トリコモナス、マイコプラズマ、ウレアプラズマ
  • 尿採取セット:性器クラミジア、性器淋菌、マイコプラズマ、ウレアプラズマ
  • うがい採取セット:咽頭クラミジア、咽頭淋菌

クラミジア感染の有無を確認したい場合は、「膣分泌液採取セット」「尿採取セット」「うがい採取セット」を利用しましょう。
クラミジア感染を確実に把握するためにも、上記3つの検査キットを併用して利用するのがおすすめです。
一つの検査キットのみだと、感染部位によってはクラミジア感染を把握できない可能性があります。
梅毒やHIVの感染が気なる方は、採血セットの利用もあわせておすすめします。

検査キットの価格帯は「4,000円~10,000円」ほどになります。
検査キットの種類によっては、価格が10,000円を超えるものもあるので、事前に複数の検査キットを比較しましょう。

(3)パートナーと一緒に

パートナーがいる場合は、一緒に検査することをおすすめします。
クラミジアは非常に感染力が強い性病です。
自分のクラミジアが完治しても、パートナーが感染していれば再度感染してしまいます。
郵送検査であれば、一緒のタイミングで検査を行いやすく、互いの検査結果も確認できるので、性病感染の不安も払拭できます。

8、陽性の場合は、すぐに治療を受ける

郵送検査の結果、クラミジア陽性であった場合は、すぐに治療を受けましょう。
クラミジアは放置しても完治することはありません。
適切な治療を受けないと、症状が悪化してしまい、不妊症の要因となってしまいます。

クラミジアの治療では、抗菌薬の服用が行われます。
服用期間は1日~2週間ほどですので医師の指示に従って、服用を行いましょう。
クラミジアが完治したか否かは、服用後の検査でのみ確認できるため、検査で陰性となるまで油断はできません。

まとめ

クラミジアに感染した後、治療せずに放置すると男女問わず不妊症の原因になります。
特に、女性の場合は早産・流産の原因にもなるので要注意です。
クラミジアと思しき症状が見られたら、すぐに検査を受けましょう。

検査方法は、自宅で簡単に利用できる郵便検査がおすすめです。
郵便検査を利用すれば、医療機関に出向かなくても手軽に性病検査を行えます。
クラミジア以外の性病もまとめて検査することが可能です。

自分の判断で、クラミジア感染の有無を判断してはいけません。
感染していても症状が出ないケースも多く見られるため、まずは性病検査を受けて、クラミジアに感染していないか確認しましょう。

他にも性病の検査費用は?安く手軽な検査方法や治療法について気になる方はこちらの記事も合わせてご覧ください。

記事監修

坂東 重浩ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前 院長
東京慈恵会医科大学での泌尿器科診療をはじめ、内科や、腹腔鏡手術や内視鏡手術などの先端医療、皮膚科専門医の指導を受け皮膚科疾患診療にも従事。

〈資格〉日本泌尿器科学会 専門医・指導医/日本がん治療認定医/日本性感染症学会 認定医/日本医師会認定 産業医/泌尿器腹腔鏡技術認定医/難病指定医/緩和ケア研修終了/ 〈所属学会〉日本泌尿器科学会/日本内科学会/日本皮膚科学会/日本透析医学会/日本性感染症学会/日本泌尿器内視鏡学会/

http://bando-clinic.com/

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