性器ヘルペスの症状と特徴、対処法

性器ヘルペス 症状

性器ヘルペスは初感染の際にかなり激しい症状が出ることがあります。
また、病原体(ヘルペスウイルス)は体内に潜伏して再発を引き起こすという性質を持っており、再発時の症状は比較的軽いものの、頻繁に再発すると日常生活に大きな影響が生じます。
性器ヘルペスでは症状を早く治すことと再発を抑制することが重要です。

性器ヘルペスの症状と特徴、感染した場合の心構えや対処法(検査・治療・再発抑制)について見ていきましょう。

1、性器ヘルペスの症状

性器ヘルペスの症状の現れ方は「初感染初発」「非初感染初発」「再発」の3つに分類されます。

「初感染初発」はヘルペスウイルスが性器に初めて侵入した際に発症する場合で、感染から2~10日後に激しい痛みを伴った皮膚症状や熱などの全身症状が現れます。

「非初感染初発」は初感染の時点では発症せず、しばらく経ってから症状が出る場合です。「初感染初発」よりも症状が穏やかなのが一般的です。

「再発」は一度症状が出て治まったのちに再び発症する場合です。
症状は局所的で、比較的軽く済みますが、再発が繰り返されることがあります。

「非初感染初発」と「再発」は、風邪や疲労、月経、性行為、外科手術などが誘因となりウイルスが活性化することで起こります。

性器ヘルペスは女性のほうが男性より症状が重くなる傾向があります。

(1)女性に生じる症状

①初感染初発

性器、全身、神経、鼠径部(太ももの付け根)の症状が比較的急激に現れます。

大陰唇・小陰唇、膣前庭(小陰唇に囲まれた部分)、会陰部(性器と肛門の間)などに潰瘍や水ぶくれがまとまって生じます。
潰瘍というのは、皮膚がえぐれたりただれたりする症状です。
これらの症状は痛みを伴い、激しい痛みのため歩行が困難になる人もいます。

性器の症状と並行して強い倦怠感や38度を超える高熱などの全身症状が現れることもあります。
また、鼠径部リンパ節が腫れて痛んだり、神経の異常により頭痛や排尿困難などの症状が現れたりします。

②非初感染初発

初感染初発と同様の症状(とくに潰瘍・水ぶくれ、鼠径部リンパ節の腫れ、排尿困難、頭痛など)が見られますが、初感染初発と比べると症状が軽いのが一般的です。
ただし、免疫不全患者や高齢者では重症化することがあります。

③再発

再発では全身症状はあまり見られず、病変が生じる範囲は狭く、程度も軽いのが通例です。
非初感染初発と同様に免疫不全患者や高齢者では重症化する恐れがあります。

再発の直前に、予兆として陰部の違和感や不快感、脚の痛みなどが生じることがあります。

症状は比較的軽いものの、何度も再発する例が少なくありません。
再発頻度が高いと、性生活や精神の健康に大きく影響するおそれがあります。

(2)男性に生じる症状

①初感染初発

亀頭や陰茎体部(いわゆる「竿」)などの性器表面に直径1~2mmの水ぶくれがまとまって生じ、かゆみや違和感を伴います。
発症から3~5日経つと水ぶくれが破れて融合し、ただれて痛むようになります。
発症から1週間程経った頃が最もつらい時期です。

全身の倦怠感や鼠径部リンパ節の腫れなども生じ、尿道から分泌物が出ることもあります。

②非初感染初発

初感染初発と同様の種類の症状が現れますが、程度は軽いのが一般的です。
免疫不全患者や高齢者では重症になることもあります。

③再発

初発の際に水ぶくれが発症したのと同じ部位や、臀部、太ももなどに水ぶくれや軽い潰瘍ができます。
初発時よりも程度は軽いのが通例ですが、免疫不全患者や高齢者では重症になることもあります。
女性と同様、再発が繰り返される場合があります。

2、性器ヘルペスの現状

(1)性器ヘルペスの感染者数

性器ヘルペスは男性より女性の方が感染報告数(医療機関から国の機関に報告される感染者数)が多いのが特徴です。
女性の方が症状が重く、感染に気づく人や受診する人が多いということも影響していると思われます。

平成30年には全国で9,129人(女性5,544人、男性3,585人)の感染が報告されています。

(2)性器ヘルペスの感染経路

性器ヘルペスは主に性行為の際に性器がウイルスに接触することで感染します。
性器ヘルペスに感染している相手と膣性交を行った場合だけでなく、口・喉がヘルペスに感染した相手とのオーラルセックスでも性器ヘルペスに感染する可能性があります。

ヘルペスウイルスは症状が出ている部位(病変部位)に現れるだけでなく、症状が出ていない(自覚症状がない)感染者の精液や尿道・膣の分泌物などに含まれていることがあります。
つまり、症状の有無にかかわらず、感染者との性行為により感染するリスクがあります。

その他、性器や臀部の病変部位に接触した物品(バスタオル、浴用チェア、便座など)にウイルスが移動し、感染源となることがあります。

3、性器ヘルペスの症状を放置し続けるとどうなるのか

(1)再発でQOL(生活の質)が低下

性器ヘルペスの症状は放置しても自然に治まっていきます。
初感染初発の場合は数週間程度で治まります(ただし、激しい症状が出た場合は治まるまで我慢し続けるのは大変でしょう)。
非初感染初発ではもっと短い期間で済むのが普通です。

しかし、ヘルペスウイルスは一度感染すると神経の奥の方に潜伏しつづけるため、すべての感染者に再発するリスクがあります。
風邪などの病気、疲労、睡眠不足、月経、外科手術、歯の治療、性行為などが再発のきっかけになります。

再発の頻度には個人差があり、数年に1回という人もいれば、毎月(例えば生理の度に)という人もいます。

短い間隔で再発が繰り返されると、性生活やパートナーとの関係が思うように行かず、「いつ再発するかわからない」といった不安が精神的に大きな重荷となり、再発を抑制する処置を行わない限りQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質・幸福度)が大きく低下するおそれがあります。

(2)性交渉の相手や新生児にうつしてしまう

性器ヘルペスを放置すると性行為によって他の人に感染させてしまう危険が高まります。

女性の場合、分娩時に性器が発症していると新生児にうつしてしまうことがあります。新生児のヘルペスは感染が脳や全身に広がって命にかかわるケースも多く、母子感染の可能性が高い場合には帝王切開による出産が推奨されています。

4、性器ヘルペスの症状が出たときにしてはいけないこと

(1)性行為

性器ヘルペスの症状が出ている間は相手に感染させてしまうリスクが高いため性行為は避けるべきです。

コンドームを着ければ感染が防げる場合がありますが、コンドームだけでは不十分なケースも少なくありません。
男性のペニス(陰茎)が発症している場合、よく見れば陰嚢などにも症状が出ていてそこからウイルスがうつることもあります。

また、女性側が発症しているケースでは、膣とペニスの接触はコンドームで防げますが、外陰部(陰唇や会陰部)とペニスの根元や陰嚢が接触することは防げず、感染につながる可能性があります。

オーラルセックスにより女性器・男性器から口・喉にうつったり、逆に口や喉のヘルペスが性器にうつったりすることがあります。
コンドームの使用で防げる場合もありますが、発症している相手とのオーラルセックスは避けるようにしましょう。

症状が出ていない(自覚症状がない)間も精液や尿道・膣の分泌物などに感染力のあるウイルスが現れていることがあるため注意が必要です。
この場合はコンドームで感染が防げる場合が多いでしょう。

(2)病変部位に直接触れた物品の共用

病変部位に直に触れた物を介して間接的に感染する場合があります。
患部に触れたバスタオル、浴用チェア、食器などをそのまま共用することはせず、洗浄・乾燥してから使用するようにしてください。

臀部に症状が出ていると便座にウイルスがつくことがあるため、患部をガーゼなどで覆うか、使用後に便座をアルコール消毒するとよいでしょう。

体から離れたウイルスはしばらくすると感染力を失うため、物を介して間接的に感染する例は多くありませんが、自身やパートナー・家族に症状が出ている間は注意した方がよいでしょう。
なお、ヘルペスウイルスは熱に弱いため、お風呂のお湯から感染することはありません。

(3)病変部位に触れた指で眼を擦る

性器の病変部位に触れた指で眼を擦ると角膜炎・結膜炎を起こすことがまれながらあります。
なかなか治らず重症化することもあると言われており、注意が必要です。

5、性器ヘルペスが出たときにすべきこと

性器ヘルペスと思われる症状が出たら、感染拡大の防止と検査・治療を検討することが必要です。
性器ヘルペスには当てはまらないと思われる場合も、他の性病の可能性もありますので、気になる症状があればまずは検査を受けてみるのがよいでしょう。

(1)パートナーに報告

パートナーに感染させてしまうリスクが高く、性行為を避ける必要があるため、疑わしい症状が出た段階でパートナーに打ち明け、適切な感染予防対策をとるべきです。
打ち明けずに性行為だけ避けると2人の関係が壊れてしまうこともあります。

また、すでにパートナーに感染させてしまっている可能性もあるため、パートナーに報告した上で一緒に検査を受けるなどの対応をとったほうがよいでしょう。

(2)検査をする

性病検査は医療機関を受診する以外にも検査キットを取り寄せて自宅で検査物を採取する方法があります。

しかし、性器ヘルペスの場合は症状を見ないで診断することは難しいため、検査キットによる方法はあまり用いられていません。

日本の検査機関で郵送検査キットを販売しているところは限られます。
外国製の自己診断検査キット(自宅で血液を採取しその場で検査結果が確認できる簡易タイプ)がインターネット通販サイトで扱われていますが、信頼性に問題があると言わざるを得ません。

性器ヘルペスに関しては自宅での検査ではなく、医療機関にて検査しましょう。

(3)感染が判明したら治療を

ヘルペスウイルスへの感染そのものを治す(体内からウイルスを排除する)方法はいまのところ存在せず、抗ウイルス薬を用いて症状を抑えたり、治まるまでの期間を短くしたりする治療が行われます。

治療には飲み薬(錠剤)を用いるのが一般的です(初感染初発・非初感染初発の場合は5~10日間、再発の場合は5日間服用)。
重症の場合は抗ウイルス薬を点滴で投与します。

症状が軽い場合に塗り薬が処方されることもありますが、塗り薬では患部のウイルスが十分に抑えられないと言われています。

頻繁に再発するケースについては再発抑制療法も行われています。
抗ウイルス薬を毎日服用することで再発を抑制するというものです(保険診療で行える場合があります)。
医師と相談して治療目標や期間を設定し、効果・副作用・服薬状況などをチェックしながら進める必要があります。

まとめ

性器ヘルペスは初めての感染の際に激しい症状が出ることがあり、症状が治まっても度々再発する可能性があります。
再発頻度には個人差があり、頻繁に再発が繰り返されると精神的な健康に影響します。

気になる症状や感染したおそれがある場合は早めに医療機関で検査を受け、医師とよく相談しながら治療や再発抑制の方法を検討してください。

記事監修

坂東 重浩ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前 院長
東京慈恵会医科大学での泌尿器科診療をはじめ、内科や、腹腔鏡手術や内視鏡手術などの先端医療、皮膚科専門医の指導を受け皮膚科疾患診療にも従事。

〈資格〉日本泌尿器科学会 専門医・指導医/日本がん治療認定医/日本性感染症学会 認定医/日本医師会認定 産業医/泌尿器腹腔鏡技術認定医/難病指定医/緩和ケア研修終了/ 〈所属学会〉日本泌尿器科学会/日本内科学会/日本皮膚科学会/日本透析医学会/日本性感染症学会/日本泌尿器内視鏡学会/

http://bando-clinic.com/

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