HIVの症状はチェックできる?HIVについて知っておくべきこと

「最近、寝汗がひどかったり、下痢や体調不良が長く続くことが多い。もしかしたら、免疫が落ちているのでは…」

このような悩みを抱えている方、もしかするとHIVに感染しているかもしれません。
HIVを治療せずに放置すると、やがてエイズの発症につながってしまいます。
適切な治療を行わないと生命の危機に陥ることも。

本記事ではHIVの症状チェックについて、HIVの基本情報や検査方法などの情報と合わせて解説していきます。
HIV感染の疑いがある方、また感染に不安を持っている方はぜひ一読してみてください。

1、症状チェックの前に|そもそもHIVとは


HIVの症状についてチェックする前に、HIVの基本情報を確認していきましょう。

(1)HIVとは?

HIVとは「Human Immunodeficiency Virus」の略称で、日本語で「ヒト免疫不全ウィルス」と呼ばれています。

①体の免疫機能が低下する

HIVに感染すると、体の免疫機能が徐々に弱まります。
免疫は体をウイルスや細菌から守る重要な機能です。
HIVによって免疫機能が弱まると様々な病気にかかりやすくなってしまいます。

HIVウィルス自体が病気を引き起こすのではなく、HIVウィルスによって免疫機能が低下することで病気にかかってしまう点が他の感染症と異なります。

②HIVの感染経路

HIVの主な感染経路は性交渉です。
HIVは精液や膣分泌液、血液を介して感染していきます。
通常の性交渉のみならず、オーラルセックスやアナルセックスでも感染するので注意しなければいけません。

③HIVは完全に除去できない

現代の医療技術では、体内からHIVを完全に除去することはできません。
HIVの治療では体内のHIVの量を一定の水準以下でコントロールする薬剤投与が中心になります。
早期発見の後に治療を開始できれば、健康な人と寿命はほとんど変わりません。

ただし、一度薬剤療法を始めたら一生薬を飲み続ければいけません。年々、治療薬の改良も進んではいますが、薬の副作用などは完全にはなくなっておらず、日々の生活の負担となってしまうこともあります。

(2)HIVの感染者数

①感染者数は減少傾向

厚生労働省が発表したデータによると、2019年のHIVの新規感染者数は770人とされています(内訳は男性741人、女性29人)。
感染者数は2008年の999人をピークに徐々に減少傾向にありますが、2000年代前半と比べると現在の新規感染者数はまだ多い状況です。

また、公表されているHIVの感染者数は病院や保健所などで検査を受けた結果、HIV陽性が確認できた人数であるため、実際のHIV感染者数は統計上の数字よりも多いと考えられます。

②日本はHIV感染者数が多い

日本は先進国の中でもHIV感染者数が非常に多いです。
2019年のHIV感染者数を比較してみると、日本が770人であるのに対し、西ヨーロッパでは3人、北アメリカでは1人、オールトラリア・ニュージーランドでは1人となっています。

これらの数字を並べてみると、日本のHIV感染者数が如何に多いかが分かります。
日本でHIV感染者数が多い要因は明確にはなっていませんが、欧米諸国と比べて性感染症に対する意識が低い点は否定できません。
HIV感染は他人事ではなく、性行為を行う人全員がリスクを抱えている点を理解する必要があります。

(3)HIVとエイズの違い

HIVとエイズを混同される方がいますが、厳密にいうと両者は異なります。
HIVはヒト免疫不全ウィルスそのものを指すのに対し、エイズは免疫不全によって引き起こされる病気を指します。
HIV感染によって免疫機能が低下していき、免疫が一定の水準以下まで落ち込むと健康体の人には何ら問題がないようなウィルス、細菌に感染するようになってしまいます。
これを「日和見感染」と呼び、日和見感染による病気が確認された時点でエイズ発症を診断されることが多いです。

厚生労働省はエイズ発症の診断基準を定めているため、気になる方はHIV感染症/AIDS診断基準をご覧ください。

2、HIVの初期症状はチェックできるのか


それでは、HIVの初期症状はチェックできるのかと疑問に思う方もいるでしょう。
HIV初期症状について説明します。

(1)インフルエンザと似た症状

HIVに感染すると、感染してから2週間~4週間ほどのタイミングでHIVが体内で急増してきます。
HIVの増加に伴い、免疫機能をもったリンパ球が減少するため、発熱・寝汗・のどの痛み・下痢・関節の痛み・筋肉痛など、インフルエンザに似た症状が出ることがあります。
HIVの初期症状としてチェックすることは可能ではありますが、これらの症状は数日~数週間ほどでなくなるため、現実的にはHIVの感染に気付くことは難しいでしょう。

(2)無症状の場合もある

また、HIVに感染したからといって上記の症状が必ず出る訳ではなく、無症状のままであるケースも多いです。

リスクのある性行為を行ってからインフルエンザのような症状が出た場合は、症状が回復したとしてもHIVの感染を疑った方が良いでしょう。

3、HIVの症状が進行したときのチェックポイント


HIVに感染すると、徐々に症状が進行していきます。
感染から時間が経過するとエイズ発症に至り、無治療のままだと命を落としてしまう危険も十分にあるでしょう。
HIVが進行すると具体的にはどのような症状がでるのか、時期ごとのHIVの症状について詳細を確認していきましょう。

(1)無症候性キャリア期

HIVに感染してインフルエンザに似た初期症状が起こる時期を「急性期」と呼びます。
この急性期を過ぎると症状が出ない時期が数年~10年ほど続きます。
この時期を「無症候性キャリア期」と呼びます。

無症状の時期には個人差があるため、人によってはHIVに感染してから10年以上経過した場合でも症状が出ないこともあります。
反対に、HIVに感染してから2年足らずでエイズを発症する人もいます。

無症状の時期といっても体内のHIVは着実に増殖していくため、免疫機能は徐々に低下していきます。
免疫機能が一定の水準以下まで落ち込んでくると、下痢が長期間続いたり、急激な体重減少が起こることがあります。

病気にかかるほどではなくても徐々に体の免疫が弱まってくるため、体力低下などを感じやすくなってくるのも無症状期の特徴です。

(2)エイズ発症期

無症候性キャリア期で適切な治療を行わなかった場合、免疫低下が継続していきます。
そして、健康な人では感染しないようなウィルス・細菌に感染して日和見感染症を発症していきます。

この段階で「エイズ発症」となります。
エイズ発症期では、前述した日和見感染症が発症していき、日常生活にも支障をきたしてきます。

肺炎やカンジダ症など、エイズによって様々な病気が生じてくるため、この段階で病院に出向いてHIV感染・エイズ発症を認知する人もいます。
HIV感染に気付かずエイズを発症することを「いきなりエイズ」と呼びます。

(3)エイズ進行期

エイズ発症によって日和見感染症が起こっているにも関わらず、適切な治療を行わないとエイズが進行していきます。

カポジ肉腫やリンパ腫など悪性腫瘍が生じたり、認知症をともなうHIV脳症など、重篤な病気が生じてきます。

複数の日和見感染症が生じてしまうと、それぞれの病気を完治させるのに時間がかかってしまうため、症状が進行しやすくなる負のスパイラルに陥ってしまう可能性があります。

また、エイズが進行してから治療を始めた人は発症前に治療を始めた人と比べて予後が悪いケースが多いです。エイズが進行する前に適切な治療を受けなければなりません。

(4)エイズ末期

エイズに感染してから無治療の状態が続くと、数年以内には命を落としてしまう可能性が非常に高いです。
医療が進歩した現代の日本で、エイズ末期の状態になるまで症状を放置することは稀ではありますが、症状を放置することで命を落とすという点は知っておかねばなりません。

多くの日和見感染を発症しているエイズ末期の状態になると、病状によっては治療困難な病気も出てきます。
特にエイズによって生じた癌が進行して末期の状態になると、治療は難しくなってきます。

4、HIVの症状が確認されたらすべきこと


HIVの症状が確認されたらすぐに検査を受けましょう。下記の2つの検査方法について説明します。

  • 医療機関で検査を受ける
  • 自宅で検査キットを利用するなる

(1)医療機関で検査を受ける

医療機関ではHIVをはじめとした各種性病の検査を実施しています。
HIVの検査は主に泌尿器科、婦人科などで行われているので、行き先の病院に該当の診療科があるか確認しておきましょう。

医療機関で検査するメリットは、検査を受けて陽性の場合そのまま治療に進める点です。
ただし医療機関でHIV検査を受ける場合は、事前に予約が必要な病院や、検査を受けられる時間が限られていること病院もあります。

(2)自宅で検査キットを使用する

自宅で検査キットを利用してHIV検査を行うことも可能です。
検査キットは自分のタイミングで簡単に検査を行えるので、仕事で忙しい人でも検査のために仕事を休む必要もありません。

採血では医療機関で使用するような注射針ではなく、一瞬小さな針が飛び出るタイプのキットを使用します。
痛みも注射と比べると格段に抑えられているので、注射が苦手な人でも安心して利用できます。

検査結果は郵送から1週間ほどで確認できます。
Web上で結果を確認できるので、家族や知人に検査結果を見られることもありません。

まとめ

HIVの初期症状として、発熱やのどの痛み、筋肉痛などインフルエンザと似た症状が出てくることがあります。
ただし、初期症状がでないこともあるので、症状が出ないからといってHIVに感染していないと決めつけてはいけません。

また、HIVに感染してから数年~数十年の間は無症状の期間が続きます。
この間に徐々に免疫機能が低下していき、長期間の下痢や寝汗の増加などの症状が見られることもあります。

HIVを治療せずに放置していると、最終的に免疫機能が落ちてエイズを発症してしまいます。
エイズを発症すると、日和見感染により重篤な病気にかかってしまい、場合によっては命を落としてしまうこともあります。

HIVと思しき症状が出たら、すぐに検査を受けるようにしてください。
症状が出ていない場合でも、リスクのある性行為を行った場合はHIV検査を受けるようにしましょう。

記事監修

坂東 重浩ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前 院長
東京慈恵会医科大学での泌尿器科診療をはじめ、内科や、腹腔鏡手術や内視鏡手術などの先端医療、皮膚科専門医の指導を受け皮膚科疾患診療にも従事。

〈資格〉日本泌尿器科学会 専門医・指導医/日本がん治療認定医/日本性感染症学会 認定医/日本医師会認定 産業医/泌尿器腹腔鏡技術認定医/難病指定医/緩和ケア研修終了/ 〈所属学会〉日本泌尿器科学会/日本内科学会/日本皮膚科学会/日本透析医学会/日本性感染症学会/日本泌尿器内視鏡学会/

http://bando-clinic.com/

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