妊活中でも妊娠できない理由。その原因は性病かも知れません

妊娠 できない

「妊活をしているのに、なかなか妊娠できない」

このようなお悩みを抱えている方は、少なくないと思います。
実際、不妊に悩んでいる方は増えており、本格的に不妊治療を始めるケースも多数です。

不妊の原因として盲点になっているのが「性病」です。
性病に感染すると、性器や生殖機能に異常をきたすことが多く、妊娠を妨げる要因となります。

この記事からわかること
■妊娠できない原因として性病がある
■性病患者増えている、不妊治療患者も増えている
■過去に性病感染したかどうかも重要
■性病のまま妊娠した場合の危険性
■郵送検査について

上記内容について詳細を知りたい方は、ぜひ本記事を一読してみてください。

1、妊娠できない割合ってどのくらい?

妊活中になかなか妊娠できないと、不安になってくる方も多いと思います。
実際、妊娠できない割合がどれくらいなのか、確認していきましょう。

(1)妊娠できない割合は

妊娠できない割合は、約1割ほどと言われています。
10組中1組の夫婦が妊娠しない計算です。

避妊しなければ1年以内に8割、2年以内に9割ほどの人が妊娠するとも言われていますが、すべての夫婦が必ず妊娠できる訳ではないのです。

(2)子供のいない夫婦世帯も増えてきている

これまでの日本では「子供がいるのは当たり前」という風潮が強かったですが、現在は子供がいない夫婦世帯も増えてきています。
2015年に国立社会保障・人口問題研究所が行った調査によると、子供のいない夫婦の割合は1977年の時点で全体の「3.0%」でしたが、2015年には「6.2%」に増加しています。
参考:国立社会保障・人口問題研究所|出生動向基本調査|第Ⅱ部夫婦調査の結果概要

不妊以外の理由で子供がいない家庭も存在しますが、不妊は決して他人ごとの問題ではない点、留意しなければなりません。

2、妊娠しない一般的な原因とは?

妊娠しない一般的な原因は、女性側・男性側それぞれに見られます。
性別ごとの原因をそれぞれ確認していきましょう。

(1)女性側

妊娠しない一般的な原因として、女性では下記の障害・症状が多く見られます。

  • 排卵障害
  • 卵管障害
  • 子宮頸管の障害
  • 子宮内膜症

それぞれの原因について詳しくみていきましょう。

①排卵障害

ストレスや激しい運動、急激な体重変化によって排卵が正常に行われないことがあります。
これを「排卵障害」と呼びます。

妊娠するためには、卵子と精子が結合することが必須です。
そのため、排卵が正常に行われないと妊娠することはできません。
仕事や家事で体に負荷をかけすぎると、排卵障害が起こる可能性があるので注意してください。

②卵管障害

卵管が詰まってしまったり、癒着が生じると精子が卵子まで到達できなくなります。
これを「卵管障害」と呼びます。
卵管障害は後述する性感染症によって生じることが多いです。

また、先天的な異常として卵管に欠損が見られることもあります。

③子宮頸管の障害

子宮頸管は子宮の入り口部分です。
精子は子宮頸管を通って卵管部分に進み、最終的に卵子に到達します。
子宮頸管の粘液が不足すると、精子が子宮頸管を上手く通過することができません。

また、精子に対する抗体が子宮頸管で過剰に分泌されることもあります。
抗体が分泌されると、精子は子宮頸管を通過しづらくなります。

④子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮内膜が子宮以外の部分に生じてしまう病気です。
子宮内膜が正常にできないと、受精した卵子が子宮に着床できません。
このため、子宮内膜症は不妊の原因にもなります。

子宮内膜症によって卵巣や卵管などに癒着が生じてしまい、激しい痛みが生じるケースも見られます。

(2)男性側

男性側の不妊の一般的要因として、下記の3つが挙げられます。

  • 造精機能障害
  • 性機能障害
  • 精路通過障害

それぞれの原因について詳しくみていきましょう。

①造精機能障害

造精機能障害とは、精子をつくる機能に生じる障害です。
男性不妊の要因として最も多いのが、この造精機能障害となります。

造精機能障害が生じると、精液中の精子濃度が低下したり、精子そのものが精液の中に含まれない状態になってしまいます。

②性機能障害

性機能障害とは、性行為を行うことが難しい状態になる障害です。
性欲の低下も、広義には造精機能障害に含まれてきます。
男性の場合だと「ED(勃起不全)」という言葉の方が認知されているかもしれません。

造精機能障害は年齢が高くなるほど生じやすいですが、中には心理的な要因などで20代~30代で造精機能障害を発症してしまう人もいます。

③精路通過障害

精子の通り道である精管が炎症を起こしたり、精巣上体に炎症が生じることで精子が正常に運ばれなくなります。
これを精路通過障害と呼びます。

精路通過障害は性病によって引き起こされるケースが多いです。
また、結核によって精管・精巣上体に炎症が生じることもあります。

3、性病が原因?特にクラミジアや淋菌にかかると不妊の可能性が高くなる理由

女性・男性ともに、性病感染が不妊の原因となることもあります。
性病の中でも、特に不妊に繋がりやすいのが「クラミジア」と「淋菌感染症」です。

(1)クラミジアとは

クラミジアは男女ともに日本で感染者数が最も多い性病です。
女性の場合、子宮頸管・子宮内膜・卵管などにクラミジアが感染して症状を引き起こします。
初期症状としては、下腹部の痛みや不正出血、おりものの増加などが挙げられます。
ただ、自覚症状が出ないケースも多いです。
症状が進行すると、卵管炎や卵管癒着が生じて不妊の原因となります。

男性の場合、クラミジアに感染すると性器からサラサラした分泌液が生じてきます。
また、尿道部分にかゆみ・痛みを感じるケースも多いです。
クラミジアを治療せずに放置すると、精管炎・精巣上体炎を発症してしまい、不妊に繋がってしまいます。

(2)淋菌感染症とは

淋菌感染症は、淋菌が性行為によって粘膜に感染することで生じる性感染症です。
通常の性行為のみならず、オーラルセックス・アナルセックスでも感染します。
淋菌に感染すると、女性の場合は「膿のようなおりもの」が増えてきます。
ただ、おりものの変化に気付けないケースも多いです。

男性の場合は、淋菌に感染すると「ドロッとした濃」が性器から出てくるケースが多いです。
クラミジアの分泌液よりも粘度が高い点が特徴です。
また、性器部分に強い痛みが生じることもあります。

クラミジアと同様に、淋菌を治療せずに放置すると卵管炎や卵管癒着、精管炎・精巣上体炎を生じてきます。
不妊症の要因になるため、少しでも思い当たる症状がある場合は、すぐに検査・治療を受けましょう。

4、性病患者数は年々増加、他人事ではなくなっている現状

性病患者数は年々増加しており、もはや他人事ではありません。
以前の交際相手から性病をうつされてしまい、自覚症状が出ないまま感染している可能性もあります。

(1)性病患者数の推移

厚生労働省が発表しているデータによると、性病患者数は以下の通り推移しています。

参考:性別にみた性感染症(STD) 報告数の年次推移|厚生労働省

全体的に、性病の患者数は増加傾向です。
特にクラミジア・梅毒の感染者数は近年急激に増加しています。
クラミジアは男女の感染者数はほぼ同数ですが、淋菌感染症は男性の患者数の方が多いです。
ただし、淋菌はオーラルセックスを介して喉にも感染するため、性器部分のみの性病検査では陰性となってしまうこともあります。

5、こんな症状が出ていたら性病の可能性があるかもしれません。性感染症の症状とは

性病によって初期症状に違いはありますが、男女別にいくつか共通した初期症状も見られます。

(1)性感染症の症状(女性の場合)

女性が性病に感染した際の症状として、下記の症状が挙げられます。

  • 排尿痛
  • おりものの増加・異常
  • 不正出血
  • 下腹部の痛み
  • 性器部分のかゆみ・発疹

不正出血や下腹部の痛みなど、通常の生理症状と判別がつきにくい症状が多いです。
少しでも性病と疑われる症状が出てきたら、積極的に検査を受けることが重要になります。

仮に性病に感染していない場合でも、上記の症状が継続する場合は、身体に何かしらのトラブルが生じている可能性が高いです。
適切な治療を早く受けるためにも、まずは検査を受けることをおすすめします。

(2)性感染症の症状(男性の場合)

男性の場合、性病に感染すると下記に挙げる症状が出やすいです。

  • 性器部分のかゆみ・発疹
  • 尿道のかゆみ・痛み
  • 普段出ないような膿・分泌液

性器部分のかゆみ・発疹は、男性の性病で多く見られる症状です。
また、菌・ウィルスが尿道に侵入すると、尿道部分にもかゆみ・痛みが生じできます。

クラミジア・淋菌に感染すると、性器から膿や分泌液が出てきます。
下着に付着した濃・分泌液をきっかけに、性病感染に気付く男性も少なくありません。

6、過去に性病にかかった事はありますか?行為や症状に心当たりはありますか?

クラミジア・淋菌といった不妊に影響を与える性病は、感染しても自覚症状がでないケースが多いです。
そのため、現在症状が出ていないからといって、性病に感染していないとは言い切れません。

(1)自覚症状がなくても保菌している

自覚症状がなくても、保菌している可能性は十分あります。
過去の交際相手が不特定多数と性行為を行っていた場合は、たとえ自分が特定の相手のみと性行為を行っていても、性病に感染するリスクは高まります。
そのまま自覚症状が出ずに、今に至っているかもしれません。

女性の場合は、男性よりも性病の自覚症状が出にくいです。
そのため、妊娠後の性病検査で性病感染を認知する方もいます。

(2)性病に感染してしまう可能性のある事例

性病感染は、性行為によって感染するケースが圧倒的に多いです。
性器の粘膜同士が接触して、性病の要因となる菌・ウィルスが相手に感染します。
オーラルセックス・アナルセックスでも性病は感染するので、注意しなければなりません。

過去に不特定多数の異性と性行為を行った経験がある場合は、一度性病検査を受けるようにしましょう。

7、性病に感染したまま、妊娠すると胎児や生まれてくる赤ちゃんは?

性病に感染したまま妊娠すると、胎児や生まれてくる赤ちゃんに影響を及ぼしてきます。
どのような影響が胎児・赤ちゃんに及ぶのが確認していきましょう。

(1)胎児・赤ちゃんに母子感染する

性病を治療せずに妊娠・出産を行うと、胎児・赤ちゃんに性病が感染してしまう可能性があるので要注意です。
母親から胎児・赤ちゃんに感染症がうつってしまうことを「母子感染」と呼びます。

母子感染は下記の3つに分かれています。

  • 胎内感染:母親のお腹の中で胎児が性病に感染する
  • 産道感染:胎児が産道を通る際、性病に感染する
  • 母乳感染:胎児が母乳を飲むことで、性病に感染する

母子感染を防ぐためにも、妊娠前・妊娠後の性病検査は必須です。

(2)胎児・赤ちゃんに障害・後遺症が残ってしまうことも

胎児・赤ちゃんが性病に感染してしまうと、体に障害や後遺症が残ってしまうこともあります。
母親のお腹の中にいる間、胎児・赤ちゃんは性病治療を受けられません。
産まれた後に性病治療を行うため、すでに症状が進行している可能性もあります。
性病感染が赤ちゃんの将来に影響を与えるといっても過言ではありません。

8、心当たりがある場合、検査してみましょう

性病感染に対して心当たりがある場合は、すぐに検査を受けるようにしましょう。
自覚症状が出ていなくても、すでに性病に感染している可能性があります。
性病を早期発見できれば、治療の負担を軽減することが可能です。

(1)検査方法

性病の検査方法は、大きく分けて下記の2つが挙げられます。

  • 医療機関で検査
  • 検査キットを利用して自宅で検査

それぞれの検査方法について、詳しく見ていきましょう。

①医療機関で検査

医療機関では、泌尿器科・産婦人科などで性病検査を受けることが可能です。

検査費用は保険診療で「3,000円~5,000円」ほどが相場です。
検査項目が増えると費用が高くなります。
ただ、性病を漏れなく検査するためにも、費用は惜しまずに検査を受けるようにしましょう。

検査結果に関しては、検査を受けた数日後に確認できます。
当日結果がわかる迅速検査もありますが、診断率は精密検査と比べて低いです。

②検査キットを利用して自宅で検査

医療機関に行く時間がない場合は、検査キットを利用して自宅で検査を行うのがおすすめです。
検査キットを利用すれば、都合の良いタイミングで性病検査を行えます。
採取した検体を検査機関に送付すれば、あとは結果が送られてくるのを待つのみです。

検査キットの費用は「4,000円~10,000円」が相場になります。
キットの種類によって、検査できる性病が異なるので注意してください。

検査結果は検体の送付から1週間前後で確認できます。
検査キットの中には、ネット上で結果を確認できるものもあるので、結果表を周りの人に見られたくない方でも安心です。

(2)パートナーと一緒に

性病検査は必ずパートナーと一緒に行うようにしましょう。
自分が性病に感染していない場合でも、パートナーが感染していては性病感染のリスクはなくなりません。
パートナーと一緒に性病検査を受けて、互いに性病感染の有無を確認してください。

性病感染が発覚したら、すぐに治療を受けましょう。
「症状が出ていないから、まだ治療しなくて大丈夫」と考えてはいけません。
症状が重症化すると、完治までに時間を要してしまうため、早期発見・早期治療が性病治療の鉄則です。

まとめ

妊活中でなかなか妊娠できない場合、もしかすると性病が原因になっている可能性があります。
自覚症状が出ていなくでも、性病に感染しているケースは十分あり得ます。
性病を治療せずに放置してしまうと、卵管炎や精巣上体炎など不妊の原因となる症状が発症しかねません。

少しでも思い当たる症状や過去の性行為がある場合は、すぐに性病検査を受けるようにしてください。

記事監修

坂東 重浩ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前 院長
東京慈恵会医科大学での泌尿器科診療をはじめ、内科や、腹腔鏡手術や内視鏡手術などの先端医療、皮膚科専門医の指導を受け皮膚科疾患診療にも従事。

〈資格〉日本泌尿器科学会 専門医・指導医/日本がん治療認定医/日本性感染症学会 認定医/日本医師会認定 産業医/泌尿器腹腔鏡技術認定医/難病指定医/緩和ケア研修終了/ 〈所属学会〉日本泌尿器科学会/日本内科学会/日本皮膚科学会/日本透析医学会/日本性感染症学会/日本泌尿器内視鏡学会/

http://bando-clinic.com/

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