梅毒の皮疹の特徴とは|発疹に伴う痛みやかゆみの有無について

梅毒 皮疹

「肌に見たことがないようなブツブツやできものが発生した」
「陰部の周りには潰瘍もできている」

このような症状が現れた時は、梅毒を疑った方がいいかもしれません。梅毒は様々な特徴的な皮疹が現れ、放置しておくと内臓や神経にもダメージを与えます。

そこで本記事では、「ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前」院長であり泌尿器科専門医かつ性感染症認定医である坂東が

  • 梅毒で皮膚に炎症がみられる部位
  • 梅毒の皮疹の特徴と発生する時期
  • 梅毒の皮膚炎はかゆいのか

などについて解説します。

「みたことのない皮疹や皮膚炎ができた」という方は、ぜひ参考にしてください。

1、梅毒で皮膚に炎症がみられる部位

梅毒に感染すると身体の様々な皮膚に炎症が発生します。

男性:亀頭部、亀頭冠状溝、陰茎全体
女性:膣内部、大陰唇、小陰唇周辺
男女共通:鼠蹊部、頸部、腹部、手のひら、手の裏、背中、腕、脚

この他にも口の粘膜や爪の周辺が腫れたり、髪の毛が抜けたりします。

つまり、全身に何かしら特徴的な症状が現れるのが梅毒です。これらの皮膚の症状は、発生から一定期間経つと自然に消えてしまいますが、梅毒が治ったわけではありません。放置しておくと症状がさらに悪化します。

2、梅毒の皮疹の特徴と発生する時期

梅毒の皮疹とは、見た目にどのような特徴があるのでしょうか。発生時期と合わせて紹介します。
ちなみに梅毒の症状は感染からすぐには現れず、3週間ほどの潜伏期間があります。症状の発生時期に合わせて第一期から第四期までに分けられ、皮疹が発生するのは主に第二期までです。
詳しくみていきましょう。

(1)初期硬結(第一期)

初期硬結は梅毒第一期に現れる皮疹です。梅毒は感染から3週間程度は無症状の潜伏期間ですので、初期硬結が現れるのは感染から3〜4週間くらいの時期であることが多いです。

初期硬結では感染が起きた部位に固いしこりが発生します。陰部やその周辺、皮膚ではありませんが口腔内なども。単に硬くなる程度なので、気にはなってもスルーしてしまう人が多い症状です。

(2)硬性下疳(第一期)

硬性下疳は梅毒第一期の3週間〜数ヶ月で感染部位に現れる皮疹です。皮膚が盛り上がり腫れた後にえぐれて潰瘍になります。潰瘍から分泌される液には、梅毒の病原菌である梅毒トレポネーマが多く含まれており、他人に感染させるリスクが高い皮疹です。

潰瘍というと通常はかゆかったり痛かったりしますが、梅毒の硬性下疳は特にそういった感覚がないため気づかないこともあります。

(3)梅毒性バラ疹(第二期)

バラ疹は梅毒の第二期に発生する特徴的な皮疹です。聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

第二期は梅毒感染から9週間〜3ヶ月のタイミングを指し、第一期の症状が一旦消失した後新たに症状が現れます。

バラ疹の特徴は、バラの花びらのように見える赤い発疹です。バラ疹は梅毒の病原菌である梅毒トレポネーマが血液によって全身に運ばれたことにより発生します。大きさは数ミリから1センチ程度で数日から数週間で消えてしまいます。バラ疹は全身に現れますが、腕や手のひら、背中、腹、足の裏に多いです。痛みや痒みがないため、危機感は起こりにくいでしょう。

見た目はアレルギーや蕁麻疹、風疹等とあまり違いがないため、すぐ消えてしまった場合は多くの方が梅毒と気づきません。

(4)梅毒性丘疹(第二期)

梅毒性丘疹も、見た目が特徴的な梅毒第二期の皮疹です。小豆色の小さな隆起が手足を中心に現れます。大きさは数ミリから1センチ程度で、小豆やえんどう豆くらいの大きさです。

(5)梅毒性乾癬(第二期)

上記の梅毒性丘疹が手のひらや足の裏に現れた場合は、乾癬の症状と非常に似た見た目になります。盛り上がった発疹の上の乾いた皮膚がポロポロと剥がれ落ちます。通常足の裏や掌には乾癬はあまり現れないので、梅毒性乾癬の特徴的な症状といえます。

(6)扁平コンジローマ(第二期)

扁平コンジローマも梅毒第二期に現れる皮疹です。陰部や肛門周辺、手のひらなどに扁平なイボがたくさん発生します。このイボからは梅毒トレポネーマが含まれる液が分泌されるため、周囲に感染させるリスクが高い皮疹です。

3、梅毒の皮膚炎はかゆいの?

(1)梅毒の皮膚炎はかゆみを伴わない

梅毒の皮膚炎はかゆみや痛みを伴わないことが一般的です。そのため、患者にとっては危機意識が薄くなりがちですし、一定期間経つと消えてしまうため病院に行くタイミングを逃すことになります。

かゆみや痛みを伴わないとはいえ、皮疹が発生した場所には梅毒トレポネーマが分泌されているため、体外に漏れれば他人に感染させてしまいます。上記で紹介したような皮疹が現れたらすぐに病院を受診しましょう。

(2)梅毒で皮疹が発生するのは第二期まで

ちなみに、梅毒で皮疹が発生するのは主に第二期までです。第三期以降は症状が骨や筋肉、臓器に移行します。ゴム腫と呼ばれる腫瘍が体内の至る所にでき細胞が破壊されます。

第四期になると体内の中枢部が侵されます。心臓系や神経系に深刻な影響が出て大動脈瘤や大動脈破裂、認知症などの症状が現れます。第四期までくると死に至る可能性が高くなります。

第三期は梅毒感染から3〜10年、第四期は10年以降のことが多いですが個人差があります。数十年重症化しないケースもありますし、HIVと同時感染しているケースだと非常に進行が早いケースが多いです。

4、梅毒のような皮疹がみられたら迷わず検査を

今回紹介した梅毒特有の皮疹が見られたら早急に検査をする必要があります。検査方法は大きく分けて2種類あり、それぞれにメリットがあります。自分に合った検査方法を選びましょう。

(1)医療機関等で検査

専門機関とは病院もしくは保健所です。病院にも2種類あります。保険診療適用の病院か、保険が適用されない自由診療の病院かです。

①保険診療の場合

保険診療適用の病院の場合、保険が適用されるので検査費用は安価です。目安としては2500円程度で検査できます。そのまま治療も受けられますし、治療費は月額2,000円程度なので、普通に考えれば一番ハードルが低いです。また、検査結果も当日か3日以内くらいではわかります。

しかし、保険診療適用の病院を受診すると、周囲に性病であることがバレるリスクがあります。その理由は「医療費のお知らせ」の書面が、職場や自宅に届くためです。

②自由診療の場合

上記のような理由もあり、保険が適用されない自由診療の病院を受診する人が多いです。保険が適用されないイコール「医療費のお知らせ」が自宅や職場に届かないため、他人にバレるリスクは低くなるでしょう。

しかし、保険が適用されないということは患者が医療費を全額負担をするということですし、自由診療なので病院側の価格設定が自由であるため非常に高額な医療費が発生します。目安としては検査費用に7,000〜15,000円程度、治療費に月額30,000〜50,000円程度となります。

③保健所の場合

保健所は無料で梅毒の検査を受けることができます。しかし、電話やネットで予約をしても検査日まで2週間ほど待たされることがあり、近くに梅毒検査をできる保健所がない場合は遠方まで出向かなければなりません。
また、検査結果が出るまで1〜2週間程度かかる上に、診断書が出ません。つまり、梅毒の治療をしようと思っても、診断書がないため病院を受診した段階でもう一度病院の検査を受ける必要があるのです。

(2)自宅で検査キットを使用

自宅に検査キットを郵送してもらい、自分で梅毒の検査をするという方法があります。検査キットは保険適用外なので医療費のお知らせが届かず周囲にバレるリスクは低いでしょう。「自宅に郵送されたら家族に知られるのでは?」と心配な方のために、性病検査キットとはわからないような梱包になっています。また、検査キットを提供する会社によっては郵便局留めにすることも可能です。

料金は3,000円〜6,000円程度なので、自由診療の病院で検査するより安く済みます。書面やweb上で診断書も出るため、検査で梅毒であることがわかれば病院ですぐに治療を開始できます。

(3)皮疹が消えたからといって放置は危険

現在の日本では第三期以降になるケースはほぼなく、第二期までに発見され治療がされます。死に至る病というイメージは過去のものとなりました。しかし、梅毒は治療が遅くなるほど皮膚だけでなく体内にダメージを蓄積する病気です。少しでも気になったらすぐに検査治療を受けないと、後々様々な病気になるリスクは高くなります。皮疹がすぐ消えたから、痛みやかゆみがないからといって、放置するのは絶対にやめましょう。

5、梅毒の皮膚炎の治療方法

最後に、梅毒の治療方法について説明します。

(1)投薬治療

梅毒の皮膚炎は投薬治療で完治します。皮膚にできた出来物だからといって、一般的な軟膏を塗っても治りません。梅毒の皮膚炎が消えるのは薬によって梅毒トレポネーマが消滅したか、治療をしなかったことにより潜伏期間に入ったかのいずれかです。

梅毒は性病の中でも長期的な治療が必要な病気です。検査で梅毒陽性であることが判明したら、4週間単位でペニシリン系の薬が処方され服薬をします。4週間後に検査を行い完治していれば服薬終了、そうでなければ再度4週間の服薬を続行します。

梅毒トレポネーマは偽装がうまい病原菌といわれています。完治していなくても皮疹が自然と消えることが多く、治ったと勘違いした患者が自己判断で服薬や通院をやめてしまうことも少なくありません。。

完治していなければ体内では梅毒トレポネーマが増殖し、骨や筋肉、臓器などにダメージを与え続けます。その結果、再度発症したときはさらに症状が重くなっていますし、治療は最初からやり直しです。

(2)注射をするケースもある

保険適用外の自由診療の病院を選んだ場合、即効性があるとされるペニシリン系薬剤の筋肉注射を治療として提供しているケースがあります。あくまで自己判断にはなりますが、予算に余裕がある方は検討してみてもいいかもしれません。

(3)勝手に服用をやめない

また、妊婦が梅毒にかかっていた場合は、生まれてくる赤ちゃんが先天性梅毒であるリスクも高まります。流産や死産、新生児死亡、先天異常などの原因となるため、しっかり完治させることが大切です。潜伏を治ったと勘違いすることで、母体だけでなく赤ちゃんも不幸にしてしまいます。

梅毒の治療は医師が完治を宣言するまで決められた服薬や通院を続けることが最も大切です。決して自己判断で止めないようにしましょう。

まとめ

梅毒の皮疹は「放っておいても勝手に消えてしまう」「痛みやかゆみがない」ことから、初めて梅毒にかかった方は放置してしまいがちです。隠部に初期硬結が現れても下手をしたら全く気がつかない可能性すらあります。硬性下疳を発見したとしても、痛みやかゆみがないためスルーしてしまうかもしれません。

「やっぱり何かおかしいかも」と気づく可能性が高いのは第二期です。梅毒性バラ疹や梅毒性丘疹、扁平コンジローマは明らかに異常だとわかる皮疹です。
恐ろしいことに、これらの症状も数週間放置しておくと自然と消えてしまいます。

梅毒は重症化した場合のリスクが高い性病なので、危機感を持って対応する必要があります。ただし、完治する病気なので必要以上にナーバスにならず、しっかり治療を受けることに集中すれば問題ありません。

少しでも「ひょっとして、、」と感じることがあれば、迷わず検査・治療を受けましょう。

記事監修

坂東 重浩ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前 院長
東京慈恵会医科大学での泌尿器科診療をはじめ、内科や、腹腔鏡手術や内視鏡手術などの先端医療、皮膚科専門医の指導を受け皮膚科疾患診療にも従事。

〈資格〉日本泌尿器科学会 専門医・指導医/日本がん治療認定医/日本性感染症学会 認定医/日本医師会認定 産業医/泌尿器腹腔鏡技術認定医/難病指定医/緩和ケア研修終了/ 〈所属学会〉日本泌尿器科学会/日本内科学会/日本皮膚科学会/日本透析医学会/日本性感染症学会/日本泌尿器内視鏡学会/

http://bando-clinic.com/

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