梅毒の症状は?対処法や注意点まで詳細を解説

梅毒 症状

みなさんは「梅毒」という性感染症をご存知でしょうか。
梅毒と聞いても、どのような症状なのかを正確に把握している方はおそらく少ないでしょう。
梅毒は昔の病気のように勘違いされる方もいますが、近年、梅毒の感染者数は急増しています。梅毒に感染した状態を放置してしまうと、命を落としてしまうこともあります。
そこで今回は、「ひょっとして自分って梅毒?」と少しでも不安を抱いている方のために、「ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前」院長であり泌尿器科専門医かつ性感染症認定医である坂東が

  • 梅毒の症状
  • 梅毒に感染した時の対処法

などについて詳しく解説していきます。

1、症状について知る前に!そもそも梅毒とは?

梅毒の症状について詳細を説明する前に、そもそも梅毒とはなんなのかを簡単に説明します。
梅毒とは、梅毒トレポネーマと呼ばれる細菌によって引き起こされる性感染症です。梅毒トレポネーマに感染すると、数週間ほどの潜伏期間が経過したのち、全身に症状が出てきます。感染初期は症状が軽い人も多く、発症に気づきにくい点も梅毒の特徴です。
早期発見で治療ができれば、身体への負担を最低限に抑えられますが、、早期発見が遅れて治療をしない状態が続くと、生命にかかわる状態にもなりうる病気です。

2、梅毒の症状

梅毒の症状は、1期・2期・後期の3段階に分かれています。
以下で詳しく説明します。

(1)1期の症状:感染から約3週間

1期は感染から約3週間ほどの状態です。初期症状として、性器や肛門、口周りなどに潰瘍やしこりが出てきます。また、股のリンパ節が腫れることもありますが、総じて症状は軽いことが多く、梅毒ということに気づきにくいです。

1期の症状は特に治療をしなくても、一度治まります。ただ、梅毒が治った訳ではなく、細菌は体内に留まったままであるということに注意してください。

(2)2期の症状:感染から3ヶ月程度

症状が治まってから数か月後、2期の段階に入ります。
2期の症状は、手のひらや足の裏、または全身に「赤いぶつぶつ(発疹)」が出てきます。発疹の色が紫がかっていることから、「バラ疹」とも呼ばれています。梅毒特有の全身症状なので、この段階で梅毒感染に気付く人も多いです。ただ、発疹自体にかゆみ、痛みが生じることは少なく、バラ疹が体の一部にとどまった場合は、梅毒と気づかない人もいます。

2期の症状も数週間ほどで自然と治りますが、梅毒トレポネーマは体内から消えていません。

(3)後期の症状:感染から数年

2期の症状がなくなってから数年経過すると、後期段階に入ります。後期になると、全身にゴム玉のような腫瘍ができてきます。腫瘍の大きさには個人差がありますが、通常は体にできようがない弾力の腫瘍です。この段階でも治療をせずに放置すると、体内で臓器障害や炎症が起こります。また、細菌が神経にまで到達して、神経障害(神経梅毒)を生じさせることもあり、非常に危険な状態です。適切な治療を行わないと、命を落としてしまう可能性があるため、治療は必ず行いましょう。

3、梅毒の症状が出ても放置し続けるとどうなるの?

梅毒を治療せずに放置していると、梅毒トレポネーマが全身の臓器や神経に広がっていきます。1期、2期の症状は主に皮膚疾患の症状であり、この段階では生命の危機とまではいきにくいです。しかし、生命の危機につながらないからといって、梅毒を治療せずに放置していると、末期症状として重篤な病気が発症してきます。梅毒の末期症状として、下記の病気・症状が挙げられます。

(1)ゴム腫
(2)神経梅毒
(3)心血管梅毒

(1)ゴム腫

皮膚や骨、筋肉や内臓にゴムのような弾力をもつ腫瘍ができてきます。大きさはゴムボールほどの大きさになることもあれば、小さいイボのような形で無数にできることもあります。ゴム種は周辺の骨や筋肉を破壊して広がるため、早期に治療をしないと障害が残ってしまう可能性が高いです。

(2)神経梅毒

神経梅毒とは、梅毒トレポネーマが全身の神経にまで到達した状態です。脳の神経が冒されて、発音が不明瞭になったり、強い幻覚が見える、思考力の低下する等の症状が出てきます。また、脊髄に梅毒が到達すると、「脊髄癆」と呼ばれる神経疾患が生じてきます。全身の痛み、排尿障害、感覚障害など、日常生活に支障をきたす状態になり、すぐに治療をしないと命を落とす事態になりかねません。

(3)心血管梅毒

心血管梅毒は、梅毒トレポネーマが心臓や血管に広がって起こる感染症です。心臓弁の損傷や大動脈瘤の形成など、心不全・心臓発作につながる症状を引き起こします。大動脈が破裂する原因にもなりかねず、非常に危険な状態です。

4、梅毒の症状が出た時の対処法

梅毒の症状が出た時は、焦らずに冷静に対処していくことが肝要になります。間違っても自暴自棄になってはいけません。梅毒の感染が疑われる場合は、下記の手順に沿って対処していきましょう。

(1)梅毒に完成しているかを確かめる
(2)梅毒に感染していたら治療を受ける

(1)梅毒に感染しているかを確かめる

梅毒に感染している疑いが出てきたり、リスクのある性行為をしてしまった際は、まず梅毒に感染しているか確かめましょう。感染を確かめるには、

  • 医療機関で検査を受ける
  • 自宅で検査キットを使って確認する

などの方法があります。

①精密検査

精密検査にはTP法とRPR法があります。
▪️TP法
医療機関で検査を受ける場合、TP法で検査を受けることができます。TP法の場合、感染機会から2ヵ月以上経過している場合に実施可能です。採血を行って15分ほどで結果が出てきますが、感染機会から2ヵ月以上経過していない場合は、仮に梅毒に感染していたとしても「陰性」となってしまう可能性があるため注意が必要です。
しかし、TP法は即日検査であるため自費となってしまうことからあまり一般的ではありません。
▪️RPR法
感染機会から2ヵ月は経過していないけれど、すぐに検査を行いたい場合はRPR法で検査することも可能です。RPR法の場合、感染機会から4週間以上経過している場合に行うことができます。RPR法では採血後に精密検査を行うため、結果の判明は翌日以降となります。

②検査キットを使用

検査キットを使って自宅で検査を行う場合、自分で採血を行って、採取した血液を検査機関に郵送します。採血といっても、病院で仕様される注射針を使う訳ではなく、一瞬針が飛び出るタイプのキットを使用します。(一瞬)チクリとする程度なので、自宅でも無理なく採血可能です。検査結果は、ネットで確認することが可能です。必要であれば検査結果が記載された書類を送ってもらうこともできます。検査結果が分かるまでは、概ね郵送後から約1週間程度かかるので、ゆとりをもって郵送するようにしてください。

(2)梅毒に感染していたら治療を受ける

梅毒に感染していることが判明したら、必ず病院で治療を受けましょう。梅毒は早期発見できるか否かで、治療の身体的負担が大きく変わってきます。梅毒の陽性が分かっているのに治療を先延ばしすることは、自分の命を危険にさらすことと変わりません。症状が出ていなくても、必ず病院に行って治療を受けるようにしてください。

梅毒の治療では、ペニシリン系の抗菌薬を服用していきます。症状よって治療期間は異なってきますが、1期での場合は2~4週間ほど、2期の場合は4~8週間ほど通院して、1日3回の抗菌薬服用を継続していきます。完治の最終的な判断は医師によって行われるため、治療期間中に梅毒の症状が治まったとしても決して自分の判断で治療をやめてはいけません。

症状が後期の場合、発症している病気の治療も合わせて進めていきます。臓器や皮膚の症状が重症化してる場合は、症状が治まったとしても重い障害が残ってしまうケースが多いです。
何度もお伝えしている通り、後期の状態まで放置せずに、少しでも違和感を感じたら早期に検査・治療をしましょう。

5、梅毒治療の注意点

梅毒の治療は医師の指示の下で行われます。自分の勝手な判断で行動してはいけません。特に、下記の点に注意して、梅毒の治療を受けるようにしてください。

(1)自身の判断で、抗生物質の服用を止めない
(2)治療期間中、性交渉は行わない
(3)感染が判明したら、パートナーも検査を行う

(1)自身の判断で、抗生物質の服用を止めない

抗生物質を服用していくと梅毒の症状は徐々に治まってきますが、自分の判断で服用を止めてはいけません。症状が出ていなくても梅毒トレポネーマが体内に残っている可能性が高いです。医師の指示にきちんと従い、検査の結果で治療効果が認められるまで抗生物質の服用を継続することが大切です。自分の勝手な判断で抗生物質の服用を止めたり、決められた回数の服用を守らないと、細菌が抗生物質に対して耐性をもってしまう可能性が高まります。最悪の場合、抗生物質が効かなくなることもあるので注意してください。

(2)治療期間中、性交渉は行わない

梅毒を治療している最中はパートナーとの性交渉は行わないようにしましょう。梅毒は、感染者の血液や体液が粘膜や傷口に触れることで感染するため、仮に梅毒の症状が出ていなくても、性交渉によって梅毒を移してしまう可能性が高いのです。コンドームを使ったとしても、オーラルセックスやキスで梅毒が移ってしまうこともあります。パートナーへの梅毒感染を防ぐために、治療期間中の性交渉を避けるようにしてください。

(3)感染が判明したら、パートナーも検査を行う

梅毒の感染が判明した場合、自分だけでなくパートナーの検査も行いましょう。梅毒は無症状の期間があるため症状が分かりにくい感染症です。感染してから知らず知らずのうちにパートナーへ梅毒を移している可能性もあります。自身が梅毒に感染したら、正直にその事実を伝えましょう。

6、梅毒に感染する原因・感染経路

梅毒に感染する原因は、梅毒感染者の粘膜や皮膚と直接接触することです。
梅毒トレポネーマは、血液や精液、膣分泌液に多く含まれており、これらの体液が粘膜や傷口に接触することで梅毒に感染します。

感染する最も多い経路は「性交渉」であり、通常の性交渉はもちろんのこと、オーラルセックスやキスでも感染する可能性があります。

梅毒トレポネーマは、一度体内に侵入すると数時間ほどでリンパ節と言われる部位に達し、血流に乗って全身に広がっていきます。梅毒の症状が出てくるのは感染から数週間ほどですが、細菌自体は非常に早く全身に伝わるのも梅毒の特徴と言えるでしょう。
梅毒の初期症状は、前述した通り軽度であることも多く、自身が梅毒に感染したことを知らずに、他の人へ移してしまいかねません。症状が出ないからといって、感染していない根拠にはならないのです。

7、感染しないことが一番!梅毒の予防方法

梅毒に感染さえしなければ、上記で説明した症状や命の危険に脅かされることはありません。梅毒に感染しないためには、適切な予防を行うことが必須となります。梅毒を予防するために大切なのは、「不特定多数の人と性交渉をしない」ことと、「性交渉の際にはコンドームを利用する」ことです。

(1)不特定多数との性交渉は避ける

不特定多数の相手と性交渉をすることは、梅毒をはじめとした性感染症のリスクを非常に高めます。性交渉の相手がどのような相手と性交渉をしているかは把握できませんし、いくら自分が注意していたとしても、相手が梅毒に感染していたらそれだけ感染リスクは高くなります。性交渉は、特定のパートナーとのみ行うようにしてください。
梅毒に感染しないより安全な方法として、パートナーと性交渉する前に互いに性感染症に感染していないか検査を行うことも非常に得策でしょう。

また、風俗店の利用に関しても、不特定多数の相手と性交渉することと変わりありません。風俗店に多くの利用者が集まることで、梅毒感染が広がる可能性があります。たった1回の利用であったとしても、風俗店の中で梅毒が広がっていたら、感染する可能性は十分あります。

(2)コンドームを使用する

妊娠を望まない性交渉の場合は、必ずコンドームを付けるようにしてください。コンドームを利用することで、梅毒などの性感染症に感染するリスクを大幅に減らすことができます。ただし、性交渉前から正しく着用しないと予防効果は得られません。また、コンドームを利用したからといって、梅毒の感染を100%防げるとは限りません。梅毒予防の前提となるのはやはり「不特定多数との性交渉を避けること」ですので、「コンドームを利用すれば誰と性交渉を行っても良い」とは思わないようにしましょう。

まとめ

梅毒の症状に関してご理解いただけたでしょうか?
近年、梅毒の感染者数は急増しています。梅毒の初期症状は軽度で治まることが多く、早期発見が難しい感染症です。梅毒に感染したまま適切な治療を行わないでいると、重篤な症状が出てくる可能性もあります。
梅毒と思われる症状が出てきた、もしくはリスクのある性行為をしてしまった場合は、すぐに検査を行うようにしてください。検査結果で陽性と判断されたら、医師の指示のもと、完治するまで治療を受けましょう。
間違っても自分勝手な判断で治療を中断してはいけません。現代医療では梅毒は治せる病気ですので、自暴自棄にならずに適切な治療を受けるようにしましょう。

記事監修

坂東 重浩ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前 院長
東京慈恵会医科大学での泌尿器科診療をはじめ、内科や、腹腔鏡手術や内視鏡手術などの先端医療、皮膚科専門医の指導を受け皮膚科疾患診療にも従事。

〈資格〉日本泌尿器科学会 専門医・指導医/日本がん治療認定医/日本性感染症学会 認定医/日本医師会認定 産業医/泌尿器腹腔鏡技術認定医/難病指定医/緩和ケア研修終了/ 〈所属学会〉日本泌尿器科学会/日本内科学会/日本皮膚科学会/日本透析医学会/日本性感染症学会/日本泌尿器内視鏡学会/

http://bando-clinic.com/

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