梅毒は早期の治療が命運を分ける!治療の方法や流れを解説!

梅毒 治療

近年、日本国内で梅毒に感染する人が急増しています。梅毒は早期に発見して治療すれば、体への負担を最小限にして梅毒を治すことが可能です。

しかし、そもそも自分は梅毒かわからない、どんな治療をするのか不安などという方のために、「ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前」院長であり泌尿器科専門医かつ性感染症認定医である坂東が、

  • 梅毒とは
  • 梅毒治療の流れ
  • 梅毒の治療方法と治療期間、費用

などに関する情報を紹介します。

1、梅毒とは

梅毒とは、梅毒トレポネーマという細菌によって発症する感染症で、梅毒に感染している患者の粘膜、皮膚と直接接触することで梅毒に感染します。最も多い感染機会は、オーラルセックス、アナルセックスなども含む性交渉です。また、キスによっての感染も否めません。梅毒トレポネーマが体内に入ると、数時間ほどでリンパ節に到達して血流に乗って全身に広がっていきます。初期症状は軽度な場合が多く、梅毒感染に気づかないことも多いです。

梅毒の発見が遅れてしまうと症状が悪化してしまい、治療をせずに放置していると生命にかかわる重篤な状況になりますが、早期の発見・治療によって、問題なく完治することができるので安心して下さい。

また、妊娠中に梅毒に感染すると胎児が梅毒に感染するリスクが高まります。胎児が梅毒に感染することを「先天梅毒」と呼び、早産や死産の原因になることもあります。
感染していたら必ず治療しましょう。

2、梅毒治療の流れ

梅毒治療の流れは、大まかに下記の流れとなります。

  • 症状の確認
  • 梅毒の検査
  • 梅毒治療の開始

まずは症状をチェックして、そこから検査・治療という流れになります。症状の確認と検査方法について、詳しく見ていきましょう。

(1)まずは症状を確認する

梅毒の症状は、「1期」「2期」「3期」「4期」によって異なってきます。なるべく初期の段階で症状を確認して、治療に臨むのが早期完治のために重要になります。

1期の症状では、性器や口唇の周りに小さなしこりができるのが特徴です。しこりは小さく、注意して確認しないと見落としてしまうこともあるので、少しでも違和感を感じたら注意深く確認しましょう。

性器周辺にしこりやツブツブができた場合は、梅毒でないにしても「性病」である可能性が高いです。性病に感染しなければ、性器周辺にしこりができることはあまりありません。しこりの大小や数に限らず感染の可能性を疑った方が、早期発見・早期治療につながります。

2期、3期の症状は全身症状として表れやすく、目視で確認できるケースが大半です。2期のバラ疹が生じた段階で「梅毒に感染したかもしれない」と考えて、検査の実施、もしくは医療機関での診察を行いましょう。「梅毒以外でも発疹ができることはあるし、大丈夫だろう」と考えるのはNGです。

(2)専門機関で検査するor検査キットを利用する

梅毒と思われる症状が確認できたら(もしくは少しでも不安な場合は)、

  • 専門機関で検査をする
  • 検査キットを使って自分で検査する

のいずれかで検査を行いましょう。

①専門機関で検査をする場合

専門機関で検査をすると、自分が梅毒に感染したことが周囲に知られてしまうか心配になるかもしれません。ただ、専門機関での検査ではプライバシー保護が徹底されており、専門機関から自分が梅毒に感染したことが他者に伝わることはありません。専門機関で検査を行えば、検査結果が陽性の場合すぐに治療に移ることが可能です。陽性確認後からすぐ治療を受けることが可能なので、早期治療につながります。

②検査キットを使って検査する場合

専門機関で検査を行うのにどうしても抵抗がある場合は、検査キットを使って、自宅で検査を行うのも良いでしょう。

自宅検査の場合、自分で採血をする必要があります。ただ、採血といっても注射針を使うものではなく、専用のキットで一瞬小さな針を刺すだけです。感覚的には「少しチクっとする」程度です。採血が完了したら、採取した血液を郵送します。使用する検査キットにもよりますが、郵送が完了してから1週間ほどで検査結果を確認することが可能です。

ネット上で検査結果を見れる他、必要であれば検査結果が記載された書類を自宅に郵送してもらうこともできます。ただし、検査結果で陽性だった場合は、最終的に医療機関で治療を受ける必要があるので、その点は留意しておきましょう。

(3)梅毒の検査方法

梅毒の検査では一般的に「血液検査」が実施されます。梅毒の菌体を直接検出する方法もありますが、こちらは病変した部位がないと検査することが難しいため、血液検査を採用する専門機関が多いです。

血液検査には、TP法、RPR法の2種類に大別されます。

TP法の場合は、感染機会から2ヵ月以上経過していることが実施の条件です。感染から2ヵ月経過していない状態で検査を行うと、本来陽性であるのに「陰性」となる可能性があるので要注意です。ただし、TP法は即日検査であり自費となってしまうことから一般的ではありません)

RPR法の場合、感染機会から4週間以上経過していれば実施可能です。RPR法では採血した後に精密検査を行います。そのため、検査結果の判明は翌日以降になります。

3、梅毒の治療方法と治療期間

次に、梅毒の治療方法と治療期間について説明します。

(1)梅毒の治療方法

梅毒の治療では、ペニシリン系の抗菌薬の内服が行われます。抗菌薬を1日3回、処方された量を正しく服用すれば、内服のみで梅毒を完治させることができます。ペニシリンが発見されるまでは、梅毒は「不治の病」として恐れられていました。ペニシリンが発見されたことによって、梅毒は「完治できる病気」となり、適切な治療を行えば問題なく菌を死滅させることができます。

(2)梅毒の治療期間

個人の症状にもよりますが、梅毒初期の場合で2~4週間、第2期の場合で4~8週間ほどの期間で抗菌薬の内服を行います。内服中、まったく通院する必要がないという訳ではなく、1週間に1度程度、通院して薬の効果を確かめるために検査を行います。第3期、第4期となると、抗菌薬の内服に加えて腫瘍の除去など外科的処置が実施されることもあります。

(3)梅毒治療の問題点

梅毒治療の問題点として、「抗菌薬に耐性を持った菌が出現する可能性がある」点が挙げられます。梅毒の治療で医師の指示通り正しく抗菌薬を内服すれば、梅毒トレポネーマは着実に死滅していきます。

ただ、医師の指示を守らずに内服の回数を勝手に変えてしまったり、内服しない日を作ってしまうと、菌が抗菌薬に耐性をもってしまう恐れがあります。菌が耐性をもってしまうと、同じ抗菌薬を服用しても効き目が弱くなってしまい、完治までに時間がかかってしまう可能性が生じるため注意しましょう。。

最悪の場合、抗菌薬が効かなくなることもあり非常に危険な状態になります。梅毒治療の際は、医師の指示に従って正しく抗菌薬を内服することが必須です。自分勝手な理由で内服の回数などを変えてしまうと、自分の生命を脅かしかねません。

4、梅毒治療にかかる費用

梅毒治療の費用は病院によっても異なってきますが、おおむね4週間分の抗菌薬処方で「10,000円」ほどです。また、病院で梅毒の検査を行う場合は8,000円ほどかかる場合もあるので、検査費用を捻出できない場合は地方自治体が行っている匿名の性病検査を受けるもの良いでしょう。地方自体が実施する検査は「無料」で受けることができます。ただ、陽性の場合は結果的に病院で治療を受けることになるので、スムーズに治療に入りたい場合は検査の段階から医療機関を利用するのをおすすめします。

5、梅毒治療をしないために|普段から予防する

当然ですが、梅毒に感染しなければ梅毒の治療をする必要はありません。

(1)不特定多数の人と性交渉をしない

梅毒の予防方法は、まず「不特定多数の人と性交渉をしない」ことです。よく知らない相手と頻繁に性交渉をすることは、梅毒以外の性感染症の感染リスクも高めます。最近流行りのマッチングアプリを使って性交渉の相手を見つけることも、不特定多数との性交渉につながります。

(2)風俗店の利用は慎重に

また、性風俗店の利用も、梅毒予防の観点からは利用しない方が得策です。梅毒は性交渉以外にも、オーラルセックスやキスでも感染する可能性があります。性器の粘膜が接触しなくても、梅毒に感染してしまうことがあるのです。梅毒感染者が風俗を利用した時点で、他の利用者に感染するリスクが生じます。梅毒を予防するためにも、性風俗店の利用は控えるようにしましょう。

(3)コンドームを正しく使用する

加えて、妊娠目的以外の性交渉を行う際は「コンドーム」を利用するようにしましょう。コンドームを正しく利用することで、性器の粘膜同士が接触するのを防ぐことができます。ただし、コンドームを利用したからといって100%梅毒を予防することはできません。前述したように、キスでも梅毒は感染します。また、コンドームを性交渉の途中から利用すると、それ以前に粘膜同士が接触して梅毒感染を引き起こす可能性があります。コンドームを過信せず、あくまでも「不特定多数との性交渉をしない」点を重視して、梅毒予防をしていきましょう。

まとめ

梅毒は早期の治療によって、完治までの期間を早めることができます。治療に関しても、初期~2期までであれば、抗菌薬内服のみですので、入院の必要もありません。梅毒を治療せずに、そのまま放っておくと最悪の場合、命を落とす可能性もあります。梅毒を予防するには、不特定多数の人との性交渉をしないことが第一です。コンドームを利用したとしても、100%梅毒を予防できる訳ではありませんので、過信してはいけません。

もし、リスクのある性交渉をしてしまった場合は、所定の期間が経過した後に、必ず検査を受けるようにしてください。地方公共機関が実施している匿名検査であれば、無料で梅毒の検査を行ってもらえます。梅毒は適切に治療すれば治る病気です。もし感染が判明したとしても自暴自棄にならずに、医師の指示に従って治療を正しく進めていきましょう。

記事監修

坂東 重浩ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前 院長
東京慈恵会医科大学での泌尿器科診療をはじめ、内科や、腹腔鏡手術や内視鏡手術などの先端医療、皮膚科専門医の指導を受け皮膚科疾患診療にも従事。

〈資格〉日本泌尿器科学会 専門医・指導医/日本がん治療認定医/日本性感染症学会 認定医/日本医師会認定 産業医/泌尿器腹腔鏡技術認定医/難病指定医/緩和ケア研修終了/ 〈所属学会〉日本泌尿器科学会/日本内科学会/日本皮膚科学会/日本透析医学会/日本性感染症学会/日本泌尿器内視鏡学会/

http://bando-clinic.com/

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