性病検査を受けるタイミングは?方法と時期、潜伏期間の関係

性病検査 タイミング

性病の検査を受けるのに適したタイミングはいつなのでしょうか?

症状が出ていなくても検査が可能な病気もあれば、感染機会から一定期間経過していないと検査できない病気もあります。

本記事では「性病の検査をしたいと考えているが、適切なタイミングがわからない」という方のために、「ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前」院長であり泌尿器科専門医かつ性感染症認定医である坂東が

  • 性病検査が可能になるタイミング
  • 性病に感染するタイミング
  • 性病のタイミングを判断する症状
  • 性病検査のタイミングがまだの人の注意点

などについて解説していきます。

1、性病検査が可能になるタイミング

性病検査はいつでも可能というわけではありません。

まず初めに、性病検査が可能となるタイミングについて解説します。

(1)性病検査は潜伏期間を過ぎないと行えない?

感染症の病原体が体に侵入してから症状が現れるまでには相応の日数がかかります。この日数を潜伏期間と呼びます。

性病の検査は潜伏期間経過後(つまり症状が現れてから)でないと行えないと思っている方も多いようですが、これは必ずしも正しくありません。検査可能なタイミングは病気の種類と検査方法によって決まり、潜伏期間内に検査可能な性病もあります。

(2)性病の検査方法とタイミング

性病の検査は以下の4タイプに分けることができます。

1.尿や患部の粘液などを採取して調べる
2.血液を採取して調べる
3.患部の状態を観察して判定する
4.患部の状態を観察した上で、粘液などを採取して調べる

大まかに言えば、1は感染直後の検査が可能で、2は検査可能になるまで少し待たなければならず、3・4は症状が出てから調べるということになります。

以下、タイプごとに性病の検査可能時期を見ていきます。

①尿や粘液を採取して調べる性病|クラミジア・淋病・トリコモナス・カンジダなど

クラミジア、淋病、マイコプラズマ・ウレアプラズマ、トリコモナス、カンジダが性器に感染すると、男性ならば尿・尿道粘液・亀頭表面、女性ならば膣・子宮頸部の粘液のなかに病原体が見つかります。喉への感染では喉の粘膜に病原体が現れます。

これらの性病では、尿、粘液、皮膚表面の物質を採取して検査することにより感染部位で増殖中の病原体を直接的に捉えることが可能です。そのため、感染直後から検査が可能となる場合が多いです。

ただし、実際に病原体が検出可能になるためにはある程度以上増殖していなければならず、増殖スピードには個人差があるため、感染機会から多少間を置いて検査したほうが確実な診断が期待できます。検査のタイミングが早すぎると、感染を見逃してしまうということを頭に入れておきましょう。

クリニックや検査専門機関の方針にも違いがあり、「24時間以上経過後」や「2~3日以上経過後」から検査可能としているところもあれば、「1週間以上経過後」を推奨しているところもあります。
一概には言えません。

検査可能になる時期潜伏期間
クラミジア感染後24時間~1週間1~3週間
淋病感染後24時間~1週間男性尿道で2~7日(女性は不明)
マイコプラズマ・
ウレアプラズマ
感染後24時間~1週間1~5週間
トリコモナス感染後24時間~1週間1~3週間
カンジダ感染後24時間~1週間抵抗力低下・服薬などをきっかけに発症

②血液を採取して検査する性病|梅毒・HIV・肝炎

梅毒、HIV、A型・C型肝炎の場合は血液を採取して抗体の量を調べます。抗体というのは、病原体に対抗するために免疫によって作られる物質です。一つひとつの病原体ごとに特別な抗体が作られるため、抗体を調べればどんな病原体に感染したかがわかります。

抗体が検出可能になるまでに、梅毒では4週間程度、HIVでは6~8週間、A型・C型肝炎では1~3か月かかります。

B型肝炎の場合は、血液中にB型肝炎ウイルス由来のタンパク質があるかどうかを調べます。これが検出可能になるまでに感染から1~3か月程度かかります。

検査が可能になる時期
潜伏期間
梅毒4週間程度3週間程度
HIV6~8週間2~6週間
A型肝炎1~3か月2~7週間
B型肝炎1~3か月1~6か月
C型肝炎1~3か月2~3か月

③患部の観察により判定する性病|尖圭コンジローマ・毛じらみ

尖圭コンジローマの場合は患部に生じる特有のイボを観察することで診断します。したがって検査は症状が出た後に行うことになります。

毛じらみ(ケジラミ症)とは、シラミの一種であるケジラミが陰毛などに寄生した状態を指します。患部に生息するケジラミの本体や卵を観察することにより感染(寄生)の有無が診断されます。ケジラミや卵を見つけられさえすれば感染直後にも診断は可能ですが、基本的にはある程度繁殖してからでないと見つけられません。

検査が可能になる時期潜伏期間
尖圭コンジローマ発症後3週間~8か月
毛じらみ感染後1か月~2か月頃が多い

④患部の観察と粘液などの検査により判定する性病|ヘルペス

ヘルペスの場合、性器や喉を観察して水ぶくれやただれの症状があることを確認した上で、患部からしみ出した粘液を採取して病原体の検出を行います。

検査が可能になる時期潜伏期間
ヘルペス発症後2~10日

2、性病に感染する(他人にうつす)タイミングとは

一般的に性病は、症状が出ていなくても性行為により他人にうつる可能性があります。また、症状が軽かったり気づきにくいところに生じたりしているせいで、感染していることを自覚しないままに感染を広げてしまうこともよくあります。

  • 尿道や膣から分泌物が盛んに出る
  • 皮膚にできものやただれが生じている

などの場合は患部から病原体が外に出やすく(他人の体に乗り移りやすく)なっているため、とくに感染に気をつけましょう。

3、この症状がでたら性病検査のタイミング?

検査可能時期と潜伏期間を見比べればわかる通り、発症した時点ですでに検査可能な状態になっている性病がたくさんあります(クラミジア・淋病・尖圭コンジローマなど)。これらの性病の症状が出ているのであれば、早めに検査を受けたほうがよいでしょう。

梅毒の場合は、発症してらさらに1週間程度経たないと検査できないことがありますが、それでも症状が出ていれば検査可能時期が近いと考えられます。
その場合は、医療機関などに問い合わせたり受診予約を取ったりするのに適したタイミングと言えるかもしれません。

HIV、肝炎などは潜伏期間と検査可能時期が微妙な重なり方をしています。心配な症状が出ている方は上記の表などをもとに対応を検討してください。

以下では、性病検査のタイミングを見分けるための症状について解説します。

(1)クラミジアの症状

感染から1~3週間ほど経つと、男性の場合は尿道の不快感や排尿時の軽い痛み、女性の場合はおりものの増加や下腹痛などが起こります。ただし、自覚症状がないケースもよくあります。
喉への感染(咽頭クラミジア)の場合、自覚症状がないケースが大半ですが、喉のはれや痛み、耳の詰まった感じや難聴などの症状が起こることもあります。

(2)マイコプラズマ・ウレアプラズマの症状

クラミジアと同様です。

(3)淋病の症状

男性の場合、感染から2~7日程度で尿道から膿のような分泌物が出るようになり、排尿時に痛みを感じます。

女性の場合はおりものの増加や不正出血、下腹痛、排尿時の痛みなどが生じることもありますが、無症状のケースもよくあります。
これらは生理との見分けがつきにくいかもしれません。
少しでもおかしいと感じたら病院に相談・もしくは検査しましょう。

喉への感染(咽頭淋病)では無症状のケースが大半ですが、喉や扁桃にはれや痛みが生じることもあります。

(4)トリコモナスの症状

女性の場合、感染から1~3週間後に悪臭を放つ泡状のおりものが出たり、外陰部や膣にかゆみや痛みが生じたりします。ただし無症状のケースもかなりあります。

男性の場合は自覚症状がないのが一般的です。

(5)カンジダ

病気・妊娠などで体の抵抗力が低下したり、服薬などで体の環境が大きく変わったりしたことがきっかけになって発症します。

女性の場合、外陰部や膣にかゆみや痛みが生じ、おりものが増加したり、ヨーグルト状になってかたまりが残ったりします。

男性は発症しないのが通例ですが、亀頭にかゆみ、違和感、赤み、小さな水ぶくれなどが生じる例もあります。

(6)梅毒の症状

感染から3週間程度で感染部位(亀頭、包皮、陰唇、子宮頸部、唇など)にしこりができ、しばらくすると表面がただれたようになります。この症状は自然に治まります。

その後しばらくして、感染から3か月ほど経過した頃に、胴体や手足に赤い斑点(あざ)がたくさんできます(小さなバラの花に似ているので「バラ疹」と呼ばれます)。さらに皮膚や外陰部、肛門周辺、口のなかや口角などにできものやただれが生じてきます。

(7)HIV

感染後2~6週間の頃に発熱、リンパ節の腫れ、喉の痛み、筋肉痛など、インフルエンザに似た症状が出ます(まったく無症状の人もいます)。その後長い無症状期間に入ります。

(8)A型肝炎の症状

感染後2~7週間で発熱や倦怠感に続いて食欲不振や吐き気が起こります。相当数の人に黄疸(皮膚や眼が黄色くなる症状)が現れます。

(9)B型肝炎の症状

感染から1~6か月すると微熱や食欲不振、倦怠感、吐き気、みぞおちの痛みなどが生じ、続いて黄疸が現れます。

(10)C型肝炎の症状

感染から2~3か月すると体が少しだるい、食欲がないなどの軽い症状が出ます。特別な症状ではないため自覚されないこともよくあります。

(11)尖圭コンジローマ

感染から3週間~8か月後に、表面にブツブツした突起のあるイボが生じます。発症部位は、男性の亀頭、冠状溝(カリ首)、包皮、陰嚢、女性の外陰部、膣、子宮頸部、男女の肛門周辺などです。イボのできる場所や大きさによっては違和感や痛み、かゆみが生じます。

(12)毛じらみ

ケジラミが寄生した部位にかゆみが生じます。大半は陰毛に寄生しますが、その他の部位(脇毛、頭髪など)に寄生することもあります。かゆみの出方は個人差がありますが、感染後1~2か月の頃にかゆみを自覚するのが典型的なパターンです。

(13)ヘルペス

感染から2~10日後に、感染部位(性器や唇周辺、口内、喉)に小さな水ぶくれが密集して生じ、女性器や喉への感染ではそれに加えて強い痛みや高熱を伴うことがあります。

4、性病検査のタイミングを過ぎていればすぐに検査を

早く平常の生活に戻るためにも、パートナーなどへの感染を防ぐためにも、検査可能なタイミングを過ぎていればすぐに検査を受けるのが得策です。
性病検査を受けるには、医療機関の受診と郵送検査キットの利用という2つの選択肢があります。

(1)医療機関で検査

男性なら泌尿器科、女性なら婦人科で性病一般の検査が受けられます。皮膚に症状が出る性病であれば皮膚科でも対応している場合があります。肝炎については消化器内科や感染症内科が専門機関になります。

すでに性病の症状が出ている場合もは治療にすぐに移行できる医療機関での検査がおすすめです。

(2)自宅で検査キットを使用

検査専門機関から通信販売で検査キットを購入し、自宅で検査物(尿、粘液、うがい液、血液など)を採取して返送するという方法で検査が受けられます。ただし、患部の症状を観察する必要がある尖圭コンジローマ・毛じらみ・ヘルペスについては検査キットが利用できません。

誰とも対面せずに検査が受けられるのがメリットです。(まだ症状は出ていないものの)感染機会に心当たりがあるため検査しておきたいという方などにおすすめです。

5、性病検査のタイミングがまだの人の注意点

性病は症状が出ていても出ていなくても性交渉の相手に感染させてしまう可能性があります。感染している恐れがある場合はなるべく性交渉を避けるべきです。

また、性病の症状によっては自慰による摩擦などで悪化する恐れがありますので、検査・治療が完了するまでは控えましょう。

まとめ

性病検査が可能になるタイミングは、性病の種類や検査方法によって異なり、個人差からも検査のタミングに多少の幅が生じます。発症の有無は必ずしも検査可能かどうかの基準にはなりません。
しかし、症状が出たらすぐに検査について検討すべきでしょう。

基本的には、感染した恐れがある場合は性交渉を慎み、十分な期間を置いてから検査を受けるのが確実です。

それでも今すぐに検査したい場合は、専門の病院に行って気軽に相談してみましょう。

記事監修

坂東 重浩ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前 院長
東京慈恵会医科大学での泌尿器科診療をはじめ、内科や、腹腔鏡手術や内視鏡手術などの先端医療、皮膚科専門医の指導を受け皮膚科疾患診療にも従事。

〈資格〉日本泌尿器科学会 専門医・指導医/日本がん治療認定医/日本性感染症学会 認定医/日本医師会認定 産業医/泌尿器腹腔鏡技術認定医/難病指定医/緩和ケア研修終了/ 〈所属学会〉日本泌尿器科学会/日本内科学会/日本皮膚科学会/日本透析医学会/日本性感染症学会/日本泌尿器内視鏡学会/

http://bando-clinic.com/

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