温泉や銭湯で性病にかかることはあるのでしょうか。
性行為をした心当たりが全くないのに性病にかかった場合、感染経路として多数が出入りする温浴施設が候補になります。
温泉や銭湯では、どのようなルートでどのような性病にかかるのか説明します。
1,温泉だけで性病にかかるのか。その確率とは

温泉だけで性病にかかるとしたらどれくらいの確率、どのような経路で感染するのでしょうか。
性行為に比べると相当低い確率ではありますが、戦後の衛生状態が悪い時代には公衆浴場での性病感染事例もありましたので、仕組みを知っておくに越したことはありません。
(1)温泉で性病はかかります
温泉や銭湯で性病にかかる可能性はあります。
ただし、性病の病原菌の多くは人間の粘膜を離れると死滅してしまうため、感染する性病の種類は非常に限定的です。
(2)確率
そもそも感染する性病の種類も性行為に比べると少ない上に、菌自体が体内に入る可能性となるともっと少ないため、温泉や銭湯で性病にかかる可能性は非常に低く、ごく稀といえます。
普通の衛生状態の温浴施設で、一般的な衛生観念を持って利用すれば、よほど運が悪くない限りは感染しないでしょう。
(3)何故かかるのか。感染源。
温泉や銭湯で性病にかかる感染源は、座ったところに菌がいて粘膜に触れてしまう場合が考えられます。
例えば、椅子や床などに菌がいてそこに座ることによって性器に菌がたどり着いてしまう。
または性病感染者とタオルや衣服、浴衣などを使い回しすることで、付着していた菌から感染するケース。
また、トイレの便座に菌が付着しており、そのまま座ってしまったケースなどがあり得ます。
温泉や銭湯で洗い場の椅子に座る前に必ず水で洗い流すのは、こういった病気を防ぐためです。
また、温浴施設では床に直接座らないのがマナーとされていますが、これは病気に感染しないためにも有効な予防策です。
2,温泉で感染する性病と感染しない性病とは?

温泉で感染する性病にはどんなものがあるのでしょうか。
生死に関わるような重い性病には基本的に温泉では感染しないと考えて大丈夫です。
(1)感染する病気
温泉で感染する性病は、菌や寄生虫などが比較的生命力が強いです。
人間の体を離れてもある程度の時間生きていけるため、椅子や床、タオルや衣類経由で感染します。
主に以下の3つが温泉で感染する性病です。
①膣トリコモナス
腟トリコモナス原虫というゾウリムシのような寄生虫が性器に寄生することで膣トリコモナス症になります。
症状としてはおりものの増加、泡状の悪臭の強いおりものが出る、外陰部の強い痛みや痒みなど。
さらに、治療せず放置すると、卵管まで感染が広がり不妊の原因になります。
感染経路はタオルなどの共有や不潔な下着、トイレの便座や浴槽内など。
つまり、温泉や銭湯の設備内で衛生的でない環境で感染しやすいと考えれば良いでしょう。利用する施設選びや感染しないような振る舞いが重要と言えます。
②毛じらみ
毛じらみはケジラミというシラミの一種に寄生されることで感染します。
体調は1mm程度なのでギリギリ肉眼でも見えるサイズですが、陰毛の付け根に潜り込んでしまうと発見が難しいかもしれません。
彼らが寄生し卵を産むことで症状が悪化したり全身に感染が広がり、また周りの人に感染させていきます。症状は感染部に激しい痒みです。
感染経路はタオルを介する場合が多いです。
人体を離れても48時間程度は生存できるため、家族間でのタオルや衣類の使い回しで温泉や銭湯のみならず自宅でも感染する可能性があります。
③淋菌(ほぼ0に近いらしいのですが、罹った可能性のある症例があるため記載。
リンキンに感染すると淋病になります。
2021年現在の感染事例としてはかなり稀ですが、感染経路が温泉しかあり得ない状況での幼児の感染事例が報告されています。
https://www.tsuchiya.or.jp/~hospital/Gakkai/JPSSaitama/JPSSaitama107.pdf
他にも、戦後の公衆浴場で小児淋菌性膣炎への集団感染が報告されています。
つまり、不潔な状況だと温泉や銭湯で淋菌に感染するリスクがあり得ると言えます。
淋病になると、排尿時に痛みが出たり、悪臭を放つおりものの増加や膿がでます。
感染経路は浴室の椅子や浴槽の縁、洗い場の床が考えられます。
(2)かかりにくいといわれている性病
また、以下に紹介する性病は温泉や銭湯ではかかりにくいです。
仮にこれらの性病にかかった場合、温泉ではなく何らかの性行為からの感染を疑いましょう。
①クラミジア
クラミジアはクラミジア・トラコマチスという菌が性器などの粘膜に付着することで感染します。
こちらは性行為により粘膜が直接触れ合うことで感染するため、温泉や銭湯、タオル等での間接的な感染はありません。
②梅毒
梅毒は梅毒トレポネーマが、これもやはり粘膜等の接触によって感染し梅毒になります。
性行為以外の間接的な感染はありません。
③HIV
HIVはヒト免疫不全ウイルスに感染することで発症します。
感染経路は性行為の他に血液感染や、妊娠中の母子感染が主です。
血液感染とは注射針や血液製剤などが考えられます。
温泉や銭湯を通常利用して感染することはありません。
3、性病にかかった際のリスク

性病に感染するとどのようなリスクが発生するのでしょうか。
自分の健康を害するだけでなく、周りの人にもダメージを与えることになるので、早期解決を目指すことが大切です。
(1)性病は自然治癒しない
性病は自然治癒することはないため、必ず投薬治療をする必要があります。
何もしていなくても症状が和らいだり、症状が消えて見えることがありますが、その間にも体内で悪化は進んでいます。
自己判断せずに必ず検査を受け、治療に進みましょう。
(2)無意識に他人に移す危険性
温泉や銭湯のような公衆の場で性病に感染するのは、誰か治療していない人が施設を利用したからに他なりません。
また、家族内でタオルや衣類を使いまわすのは本来好ましくはありませんが、時には軽い気持ちで渡すこともあるでしょう。
そういったときに、感染している家族から家族へ性病を広げてしまう可能性があります。
無意識のうちに他人に性病をうつして迷惑をかけているのです。
(3)性病を放置すると不妊につながる
膣トリコモナスのような病気は放置しているうちに卵管まで感染が進むと、不妊の原因になります。
性病の悪化による不妊は多いですが、本来早期発見治療をすれば防げるので、放置をしないことがやはり重要です
(4)子どもにも影響するリスク
妊婦が性病だと性病に母子感染するリスクが高まります。
つまり、妊娠前にしっかり性病を直しておくことが大切です。
もし感染したまま妊娠出産となる場合、産道や性器を通常通り通過する過程で感染してしまう可能性があるため、帝王切開せざるを得ないケースもあります。
これは母体にも大きな負担をかけます。
4、少しでも違和感を感じたらまずは検査を

温泉や銭湯に行った後に少しでも違和感を感じたら、ためらわずに検査を受けましょう。
検査方法は医療機関と郵送の検査キットのいずれかがおすすめです。
どちらも数日から1週間程度で結果がわかります。
(1)検査方法
医療機関で検査する方法と検査キットを利用する方法の価格や手順などをご紹介します。
それぞれにメリットがあるので、自分に適した検査方法を選びましょう。
①医療機関で検査(何科で受診なのか。費用など)
医療機関で検査する場合、性器周辺に症状が出ている場合は女性であれば産婦人科、男性であれば泌尿器科を受診しましょう。
費用は保険診療で「3,000円~5,000円」が相場です。
即日検査結果が出るとを謳っている病院がありますが、診断の確実性は下がるのでおすすめしません。
また、泌尿器科でなく性病科として営業している病院は、ごく稀に保険診療外の高額な診療を悪徳な形で行っている場合があります。悪徳の病院は少数で丁寧に営業している病院が大多数ですがるので、受診するなら保険診療の病院がおすすめです。
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②検査キットを利用して気軽に自宅で検査
郵送の検査キットを利用して自宅で検査が可能です。
費用は「4,000円~10,000円」程度です。
医療機関の受診より高いですが、家にいたままで検査できますし、もう一つ大きなメリットが他人にバレないという点です。
医療機関で保険診療をすると後日医療費のお知らせが家や職場に届きます。
これは年末調整で医療費の控除を受けるために必要なものですが、医療機関の名前が書いてあるため性病の検査や治療を受けたことがバレてしまう可能性があります。
しかし、検査キットは保険適用外なのでバレることはありません。
(2)郵送検査キットの種類
郵送検査キットにも様々な種類がありますがどのようなものを選んだら良いのでしょうか。複数の病気を検査できるキットであれば効率よくリスクを下げることができます。
①淋菌とクラミジアまたその両方とカンジダを検査出来るもの
膣分泌物採取セットであれば、かなりたくさんの性病検査に対応しています。
感染者が多い淋菌とクラミジアまたその両方とカンジダ、温泉や銭湯で感染する病気でいうと膣トリコモナスも検査可能です。
検査キットを選ぶ際にはどの病気に対応しているか書いてあるので、気になる性病がなるべく含まれているものを選ぶと良いでしょう。
②検査方法:うがい、初尿、性器で検査
うがいや初尿から検体を採取し検査するキット、また、男性の場合はペニスから検体を採取するキットもあります。
女性の場合は膣分泌物採取セットに比べると、検査できる性病の種類は少ないです。
(3)陽性であれば治療を
検査キットで陽性であることがわかったら、すぐに治療を受けに医療機関にいきましょう。
その際にすでに検査キットで検査済みであることを事前に伝え、病院で改めて検査を受ける必要があるか事前に確認をするのが良いです。
病院で改めて検査を受ける場合は料金が二重にかかりますし、治療に入るまでの期間が少し遅れます。
5,温泉で性病に感染しないための予防方法とは

温泉で性病に感染しないための予防法も知っておきましょう。
ポイントは衛生的かどうかを考えて行動し、そういう施設を選ぶことです。
(1)ベンチや床に直接座らない
温泉や銭湯のベンチや床は菌や寄生虫が生きているリスクがあります。
まずはベンチに座る前にお湯で流した後、タオルをしくなどしましょう。
床は掃除が足りていないところがあったり、様々な雑菌や汚れが付着している可能性が高いため、直接座るのはやめましょう。
(2)衣服やタオルは使いまわさない
衣服やタオルを家族やパートナーと使いまわすのはNGです。
それぞれのものを分けて使いましょう。
使い終わったものをそのまま放置せず、なるべく早く洗濯乾燥することも大切です。
(3)入り終わったら排尿する
菌が尿道に入っている場合がありますが、排尿によって体外に排出する効果があります。
お風呂から上がったらおしっこをするのは理にかなっています。
温浴施設を利用後に水分をとって排尿するのは習慣として身に付けておきましょう。
まとめ

温泉や銭湯などの温浴施設は性病に感染する危険性は低いですし、正しい衛生感覚で利用することで性病にかかるリスクをさらに下げることがでいます。
ただ、どんなに気をつけてもかかる時はかかるので、少しでも気になったらすぐに検査、治療を受けましょう。郵送の検査キットを使えば手軽です。
記事監修
- ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前 院長
-
東京慈恵会医科大学での泌尿器科診療をはじめ、内科や、腹腔鏡手術や内視鏡手術などの先端医療、皮膚科専門医の指導を受け皮膚科疾患診療にも従事。
〈資格〉日本泌尿器科学会 専門医・指導医/日本がん治療認定医/日本性感染症学会 認定医/日本医師会認定 産業医/泌尿器腹腔鏡技術認定医/難病指定医/緩和ケア研修終了/ 〈所属学会〉日本泌尿器科学会/日本内科学会/日本皮膚科学会/日本透析医学会/日本性感染症学会/日本泌尿器内視鏡学会/
http://bando-clinic.com/
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