性病の潜伏期間とは?性病ごとの潜伏期間について詳細解説!

性病 潜伏期間

「性病をもってそうな人と性行為をしてしまった…相手は性病でないと言っていたけど、潜伏期間もあるから安心できない…」

このような不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。性病には潜伏期間があるため、感染してからすぐに症状がでる訳ではありません。「症状が出ないから安心」という訳ではないのです。潜伏期間は性病によって異なってきます。本記事では性病の潜伏期間について、詳細を解説していきます。

他にも性病の検査費用はどれくらい?安く手軽な検査方法や治療法とはについて気になる方はこちらの記事も合わせてご覧ください。

1、性病の潜伏期間とは

性病の潜伏期間とは、性病の原因となる細菌・ウィルスに感染してから症状が発生するまでの期間のことです。潜伏期間中は症状が生じませんが、体内には細菌・ウィルスがいる状態になります。

潜伏期間は性病によって期間が異なります。また、免疫力によっても潜伏期間が異なってくるので、ある程度個人差が生じてしまうと考えてください。中には初期症状がまったく現れないというケースもあります。症状がでないからといって安心してはいけません。

2、性病の潜伏期間はどのくらいなのか

それでは、性病ごとの潜伏期間について詳細を見ていきます。

(1)クラミジア

クラミジアの潜伏期間は「1~3週間」ほどになります。

初期症状として、男性は尿道のむず痒さ、尿道からサラサラした白い膿が出てくるなどが挙げられます。女性の場合は、おりものの増加、下腹部の痛みなどがありますが、通常の生理と似た症状のためクラミジアの感染に気付きにくいです。女性は検査をして初めて、クラミジアの感染に気付くケースが多いため、少しでも不安に感じたら検査をしてみましょう。

(2)淋病

淋病の潜伏期間は「2~7日」です。

他の性病と比べると、潜伏期間が短い点が特徴です。淋病の初期症状として、男性の場合だと尿道からドロッとした濃が出てきたり、排尿時の痛みなどが挙げられます。女性の場合は、黄色味がかったおりもの、不正出血などの症状が見られますが、クラミジアと同様、初期症状に気付きにくい面もあります。

(3)梅毒

梅毒の潜伏期間は「3週間」ほどです。

潜伏期間を終えると、性器付近にしこりができたり、股付近のリンパ節が腫れあがる等の症状が見られます。感染から数か月ほど経過すると、全身に赤紫色の発疹(バラ疹)が生じてくるため、この段階で梅毒感染に気付く人も多いです。梅毒感染を数年以上放置すると、神経や内臓器官にまで梅毒が広がり、最悪の場合は死に至ります。

感染が疑われたらすぐに検査を受けるようにしてください。

(4)HIV

HIVの潜伏期間は「2~4週間」ほどです。

厳密に言うと、HIVの初期症状が出るのが2~4週間ほどで、エイズ発症はHIV感染から数年~10年後ほどになります(HIVの治療を受けなかった場合)。HIVの初期症状は、インフルエンザのような全身の倦怠感、発熱、頭痛などです。ただし、HIVに感染しても初期症状がでない人もいます。初期症状が出ないからといって、安心してはいけません。

初期症状が出た後、数年~10年ほど症状が出ない期間(無症候期)が続きますが、この間にHIV体内の免疫機能を徐々に壊していきます。そして、免疫細胞が病原菌に対抗できないレベルまで低下すると、日和見感染症、悪性リンパ腫などを発症します。

(5)ヘルペス

ヘルペスの潜伏期間は「2~10日」ほどです。

淋病と並んで、潜伏期間が短い点が特徴になります。ヘルペスの初期症状として、性器の痛みや不快感、発熱が挙げられます。初期症状が出た後、感染部位に水ぶくれ、赤い湿疹が大量に生じるためこの段階でヘルペスの感染に気付くケースも多いです。一度ヘルペスに感染すると、体内から完全にヘルペスウィルスを消すことはできなくなり、体力の低下などに応じて再発することもあります。

(6)カンジダ

カンジダの潜伏期間は「1日~1週間前後」です。

カンジダの初期症状として、男性の場合は尿道のかゆみ、痛みなどが挙げられます。ただし、無症状であるケースも多いので、症状がでない場合でも「感染してない」と考えてはいけません。女性の場合は、ドロッとしたヨーグルト、カッテージチーズ状のおりものが増加します。また、排尿痛や性交痛も見られます。

(7)尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマの潜伏期間は「3週間~8ヵ月」ほどです。

潜伏期間を過ぎると性器にイボができてきます。通常のイボと異なり、尖圭コンジローマのイボは不規則な形であるのが特徴です。イボが大きくなると、塗り薬などで治療しなければいけません。

(8)毛じらみ

毛じらみの潜伏期間は「1~2ヵ月」ほどです。

毛じらみは陰毛に寄生したのち、平均して3~4週間ほど生存します。生存している間に30~40個ほどの卵を産み付け、増殖を続けていきます。陰毛から腋毛、すね毛、まつ毛などにも感染することがあるので注意しなければいけません。通常の洗剤では毛じらみを除去できないので、薬用の洗剤を使って治療します。

(9)マイコプラズマ・ウレアプラズマ

マイコプラズマ・ウレアプラズマの潜伏期間は「1週間~1ヵ月」ほどです。

マイコプラズマ・ウレアプラズマの症状はクラミジアと似ており、尿道のむず痒さや排尿痛などが症状として出てきます。症状が軽度であることが多いので、感染しても気づかない人が多いです。感染に気付かないまま性交渉をしないよう、疑わしい症状が出たら検査を受けるようにしましょう。

(10)トリコモナス

トリコモナスの潜伏期間は「5~14日」ほどです。

男性の場合は初期症状が弱く、無症状であるケースが大半です。軽い尿道炎や前立腺炎が生じることはありますが、基本的にトリコモナスの感染には気づけません。女性の場合は症状が強く出てきます。悪臭のするおりものが増えたり、膣が焼けるような激しいかゆみが生じてきます。

(11)A型肝炎・B型肝炎・C型肝炎

肝炎の潜伏期間は、型によって変わってきます。

A型肝炎の場合は「2~7週間」、B型・C型肝炎は「2週間~6ヵ月」ほどです。他の性病と比べると潜伏期間が長いため、感染に気付けずに放置してしまうケースが多いです。肝炎の症状としては、発熱や食欲不振、全身の倦怠感などが挙げられます。

(12)赤痢アメーバ症

赤痢アメーバ症の潜伏期間は平均して「2~4週間」ほどです。

赤痢アメーバ症の症状として、血便や下痢、下腹部痛などがあります。個人によっては、数か月~数年以上のもの間症状が出ないケースもあるので、知らぬ間に感染を放置しているケースも多いです。日本での症例はそこまで多くはありませんが、他の性感染症と同様に注意しなければなりません。

3、潜伏期間中でも相手に性病を移してしまうのか

潜伏期間中であっても、性病に感染する可能性はあります。潜伏期間はあくまでも「症状が出ていない期間」であり、体内には細菌・ウィルスが存在している状態です。

そのため、精液や膣分泌液、血液にも細菌・ウィルスは含まれ、性行為などによって性病が感染するリスクは十分あります。

「症状が出てないから、性病に感染していない」という認識は誤りだと考えましょう。性病感染の有無は検査によってでしか確認できません。リスクのある性行為をした場合は、必ず性病検査を受けるようにしてください。

4、性病の潜伏期間を見抜くことはできる?

性病の潜伏期間を正確に見抜くことは困難です。

というのも、潜伏期間はあくまでも目安であり、個人の健康状態によって発症までの期間が変わってしまうためです。潜伏期間を軸にして性病感染を考えるよりも、性病感染につながる性行為自体を避けることが重要になります。基準の潜伏期間を過ぎても症状がでないケースもあるので、潜伏期間を過度に信頼するのは避けた方が無難でしょう。

5、潜伏期間中でも性病検査は可能?

性病検査は、性病の潜伏期間中でも可能です。

潜伏期間中であっても、体内には細菌・ウィルスが存在するので、検査で陽性反応がでます。ただし、性病によって検査可能時期が異なるので注意してください。

下記、性病ごとの検査可能時期になります。

性病の種類検査可能時期
クラミジア感染機会から24時間以上
淋病感染機会から24時間以上
梅毒感染機会から1ヵ月後
ヘルペス感染機会から24時間以上
カンジダ感染機会から24時間以上
HIV感染機会から14日以上(NAT検査)
マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染機会から24時間以上
A型肝炎感染機会から1ヵ月~3ヵ月以上
B型肝炎感染機会から35日以上(精密検査)
C型肝炎感染機会から24日以上(精密検査)

検査可能時期よりも前に検査を受けてしまうと、本来陽性であるのに「陰性」の結果が出てくる可能性があるので注意してください。

まとめ

性病の潜伏期間は、性病の種類によって異なります。

また、個人によっても潜伏期間にズレが生じてくるので、注意が必要です。症状自体が出にくい性病もあるため、基準の潜伏期間を経過して症状がでなかったとしても安心してはいけません。最終的に、性病感染の有無を判断するには検査を受ける必要があります。潜伏期間中でも、検査可能時期になれば検査可能ですので、リスクのある性行為を行った場合は必ず検査を受けるようにしましょう。

記事監修

坂東 重浩ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前 院長
東京慈恵会医科大学での泌尿器科診療をはじめ、内科や、腹腔鏡手術や内視鏡手術などの先端医療、皮膚科専門医の指導を受け皮膚科疾患診療にも従事。

〈資格〉日本泌尿器科学会 専門医・指導医/日本がん治療認定医/日本性感染症学会 認定医/日本医師会認定 産業医/泌尿器腹腔鏡技術認定医/難病指定医/緩和ケア研修終了/ 〈所属学会〉日本泌尿器科学会/日本内科学会/日本皮膚科学会/日本透析医学会/日本性感染症学会/日本泌尿器内視鏡学会/

http://bando-clinic.com/

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