性病の放置は命に関わる!?感染を放置するリスクを解説!

性病 放置 リスク

「性病のような症状が出ているけど、病院に行く時間がないし、放置しても大丈夫かな…」少しでのこのように考えている方は要注意です。

性病を治療せずに放置すると、症状が悪化するリスクが高まります。感染した性病によっては命に関わることも。

そこで本記事では、性病を放置することで生じるリスクについて、詳細を解説していきます。
「ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前」院長であり泌尿器科専門医かつ性感染症認定医である坂東監修の内容ですのでぜひ最後までご覧ください。

1、性病を放置するとどんなリスクがあるのか

性病は治療せずに放置していても完治することはありません。性病によって無症状になるものもありますが、体内から菌が消えた訳ではないのです。

この章では、性病を放置すると発生するリスクについて、全体的なリスクと各性病ごとのリスクに分けて確認していきます。

(1)性病を放置すると発生するリスク

まず、大まかに”性病”というくくりで放置すると発生するリスクについて紹介します。

性病を放置すると、性器や内臓、皮膚の症状が悪化していきます。比較的症状が軽い性病であっても、長年放置していると重症化するので侮ってはいけません。

症状が重症化すると結果的に完治するまでの治療期間が長くなり、身体的・経済的な負担が重くなります。早期治療であれば数週間程度の治療で治るものが、数か月以上かかってしまうことも。また、パートナーに性病をうつすリスクも高まるので、自分以外の人を性病で苦しめてしまう可能性もあります。

次は各性病ごとに、放置することによって生じるリスクを見ていきましょう。

(2)クラミジアを放置すると発生するリスク

クラミジアを放置すると、男性の場合は精巣上体で炎症が発生してしまい、精子が正常に育たなくなります。症状が重くなると不妊症になることも。女性の場合は、卵管炎や腹膜炎などの症状が出てきます。男性と同様、症状が悪化すると不妊症の原因となるため、注意しなければいけません。

また、男女ともに長期間クラミジアを放置していると、性器の衛生環境が悪化します。菌が繁殖しやすい状態になるため、他の性病に感染するリスクも高まってしまいます。

(3)淋病を放置すると発生するリスク

淋病を放置すると、クラミジアと同様、男性は精巣上体炎、女性は卵管炎・腹膜炎などを発症します。重症化すると不妊症の原因にもなるため、早急に治療を行わなければなりません。また、女性の場合は妊娠中に淋病に感染すると、早産や流産、破水、骨盤内感染症の原因になることもあります。

(4)梅毒を放置すると発生するリスク

梅毒を放置すると、感染からの期間ごとに下記の症状が発生してきます。

①感染から3ヵ月以上経過

梅毒に感染してから3ヵ月ほど放置すると、体全体に紫色の発疹(バラ疹)が生じます。

バラ疹自体には痛みや痒みは感じられませんが湿疹の範囲が広いため、見た目で梅毒の感染に気付くことが多いです。

バラ疹に関してもそのまま症状がなくなることがありますが、梅毒が完治したわけではありません。

②感染から3年以上経過

梅毒感染から3年以上放置すると、皮膚や骨、筋肉、内臓などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)ができてきます。正式な名称は「結節性梅毒」と呼び、体全体に梅毒が広がっている危険な状態です。医療が発達した現代の日本では、結節性梅毒が発症した例はほぼありません。しかし、梅毒を治療せず放置している限りは、結節性梅毒が生じるリスクは常にあります。

③感染から10年以上経過

梅毒に感染してから10年以上放置していると、梅毒が心臓の血管系や中枢神経にまで侵入してきます。大動脈瘤や痴呆、神経麻痺など重篤な症状が発症して、最終的には死に至るケースもあります。

(5)性器ヘルペスを放置すると発生するリスク

性器ヘルペスによって生じた水ぶくれ、ただれは放置していても症状は和らいできますが、適切な治療を行わないと跡が残ってしまったり、頭痛や末梢神経麻痺が生じることもあります。
また、性器ヘルペスは非常に感染力が強いため、性器以外の部位にヘルペスがうつってしまうこともあります。自然治癒を待つよりも、病院で治療を受けた方が安全かつ早期に完治できるので、必ず病院で診察を受けて治療を受けるようにしましょう。

(6)尖圭コンジローマを放置すると発生するリスク

尖圭コンジローマを放置すると、性器にできたイボが増殖していきます。

最初は性器の表面にのみ生じていたイボが、尿道や肛門の中にまで広がることもあり、治療が難しくなってきます。イボ自体に痛みや痒みは生じませんが、その分感染に気付かずに症状が進行してしまうことが多く、注意しなければいけません。

(7)毛じらみを放置すると発生するリスク

毛じらみを放置すると、陰部周辺に強い痒みが生じてきます。

痒さからかきむしってしまうことで、大量の湿疹が出てしまうことも。また、タオルやペットを介して家族やパートナーに毛じらみをうつしてしまうリスクも高いです。毛けじらみは放置していても自然治癒することはなく、陰部についた毛じらみを専用の治療薬・シャンプーで落としていかねばなりません。

(8)A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎を放置すると発生するリスク

A型・B型・C型肝炎は、それぞれ感染経路が異なってきますが、中でも性交渉によって感染しやすいのがB型肝炎です。

A型肝炎は感染者の便で汚染された生水や生の貝類などを介して感染することが多く、C型肝炎は血液を介して感染するケースが大半です。

肝炎を治療せずに放置すると、食欲不振や黄疸が生じてきます。重症化すると肝臓がんや腎不全になることもあるので、病状が重くなる前に治療を行いましょう。

(9)性器カンジタを放置すると発生するリスク

性器カンジタを放置すると、男性の場合は性器に痒みや発疹を生じたり、尿道炎を発症することがあります。

女性の場合は、ドロッとしたヨーグルト状のおりものが増えたり、排尿痛・性交痛が生じてきます。性器カンジタは疲労やストレスなどによって症状の重さが変わってくるのも特徴ですので、症状が出ていないからといって油断してはいけません。性交渉以外でも、通気性の悪い下着を夏場に利用することで、性器カンジタを発症することがあります。

(10)HIVを放置すると発生するリスク

HIVは数ある性病の中でも、放置が生命の危機に直結する病気になります。HIVは感染機会から数年の間は無症状であることが多いです。感染初期に発熱や関節の痛みなどインフルエンザと同様の症状がでることもありますが、この段階でHIVに感染したと気付ける人はほぼいません。

HIVを治療せずに放置していると、体内の免疫細胞が徐々に減少していきます。免疫細胞が一定のレベル如何になると、健常者にとっては問題のない菌やウィルスに体が抵抗できなくなってしまうのです。HIVによって発症する感染症を「日和見感染症」と呼び、日和見感染症を発症した段階で「AIDS(後天性免疫不全症候群)」と診断されます。最近は、AIDSの状態になってからHIV感染に気付くケース(いきなりAIDS)も増加しており、リスクのある性行為をした人にとっては、いきなりAIDSは他人事ではありません。

HIV感染からAIDS発症までの期間は、おおむね10年ほどです。AIDS発症後、適切な治療を行わないと数か月ほどで死に至ることもあり、迅速に治療を行わないといけません。

2、性病は放置しても完治しない

性病は基本的に、放置しても完治することはありません。ネット上の情報の中には、「性病が自然に完治した」という情報も見られますが、この情報を鵜呑みにするのは厳禁です。「自然に治った」というのは、風邪などの治療で抗菌薬を内服した際に、性病の菌にも抗菌薬が効いて治ったというケースが大半です。たまたま内服した抗菌薬が働いてくれただけで「自然治癒」した訳でない点、誤解してはいけません。

ただしこのケースもごく稀であるため、性病を完治させるには病院で適切な治療を受けましょう。

3、放置してはいけない性病と思しき症状

性病は種類によって症状に違いがありますが、全体的に共通している症状もいくつかあります。下記の症状が見られたら放置せずに検査・治療を受けるようにしてください。

(1)性器に違和感がある

男性・女性共通して、性病に感染すると性器に違和感が生じてきます。男性であれば尿道のムズ痒さや痛み、女性であれば排尿痛などです。
日常生活を送る上で、今まで感じたことがない違和感が出てきたら、何らかの性病に感染している可能性が高いです。

(2)普段見られない湿疹やイボがある

性器や肛門周辺に普段見られない湿疹やイボが出てきた場合も性病である可能性が高いでしょう。性病による湿疹やイボは、1つ1つが大きかったり、特定の部位に多数できることが多いです。湿疹・イボ自体には痒み・痛みを感じなくても、放置してはいけません。痒み・痛みがでない点も性病による湿疹・イボの特徴ですので、必ず病院で診察を受けるようにしてください。

(3)膿やドロッとしたおりものが出てくる

性病に感染すると男性の場合は、性器から膿が出てくることがあります。膿は継続して大量に出てくることも多く、性病を認知するきっかけになりやすいです。ただ、白っぽい膿の場合は精子と間違えてしまうこともあるので、注意してください。

女性の場合は、性病に感染するとドロッとしたおりものが出てくることがあります。通常のおりものよりも粘度が高いのが特徴です。ただ、男性の性器から出てくる膿と比べると、おりものの異常を認知するのは少々難しいです。性病感染時のおりものは、色味が黄色っぽくなったり、カッテージチーズのような形状であることもあるので、少しでも異常を感じたら検査・治療を受けるようにしましょう。

4、性病の放置は危険!不安なら検査・治療を

すべての性病に共通して言えることは、「放置することは非常に危険」ということです。性病を放置すると、上述した症状が出てくるリスクが高まり、場合によっては生命の危機に直面することも。性病が不安な場合は早急に検査・治療を受けることが非常に大切です。

(1)性病の検査方法

性病の検査方法は、

  • 専門機関での検査
  • 検査キットを使った検査

に分かれます。それぞれ特徴がありますので、詳細を確認していきましょう。

①専門機関で検査

性病検査で一般的なのは、病院などの専門機関での検査になります。病院以外にも保健所で検査を受けることも可能です。専門機関で精密検査を受ける場合は、検査結果が分かるまで2日~7日ほどかかりますが、その代わりに検査精度は簡易検査よりも高いので、検査結果の信頼性は高いです。

②自宅で検査キットを使用

専門機関に行く暇がないという方には、自宅で検査キットを利用するのがおすすめです。検査キットを利用すれば、自宅で検査を完結できます。検査結果は郵送から約1週間後にWebで確認できるので、郵送で家族にバレる心配もありません。検査キットは、小さい針が一瞬飛び出るタイプのキットが多く、痛みはチクっとする程度です。クラミジアや淋病の検査キットでは、尿や膣分泌液を採取します。

(2)性病の治療方法

性病の治療方法は抗菌薬の内服が中心になります。イボや湿疹が生じている場合は、軟膏を利用することも。また、症状が進行して重篤な場合は、点滴や注射で抗菌薬を投与するケースもあります。

性病の治療を受けるには、病院の泌尿器科・皮膚科・婦人科を受診します。

  • 泌尿器科
    →性器に症状が出ている場合
  • 皮膚科
    →性器以外の皮膚に症状が出ている場合
  • 婦人科
    →女性で性病と思しき症状が出ている場合

といった具合に役割が分かれています。性病は基本的に性器やその周辺から症状が出てくることが多いので、まずは泌尿器科を受診することをおすすめします。女性の場合は、異性の目が気になる方もいると思うので、婦人科を最初に受診するのもアリでしょう。婦人科の場合は、担当医師が女性であるケースが多いので、性行為の経緯や状況なども伝えやすいです。

まとめ

性病を治療せずに放置すると症状が重症化するリスクが高まります。

感染した性病によっては、生命の危機に関わることも。性病は放置していても自然治癒することはありません。病院で適切な治療を受けた場合のみ、完治させることができます。早期発見・早期治療を行うことで、完治までの期間を早めることができます。「性病に感染しているかもしれない…」という不安をお持ちの方は、早急に検査を受けるようにしましょう。結果が陽性であれば、放置せずにすぐ治療に入るようにしてください。

記事監修

坂東 重浩ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前 院長
東京慈恵会医科大学での泌尿器科診療をはじめ、内科や、腹腔鏡手術や内視鏡手術などの先端医療、皮膚科専門医の指導を受け皮膚科疾患診療にも従事。

〈資格〉日本泌尿器科学会 専門医・指導医/日本がん治療認定医/日本性感染症学会 認定医/日本医師会認定 産業医/泌尿器腹腔鏡技術認定医/難病指定医/緩和ケア研修終了/ 〈所属学会〉日本泌尿器科学会/日本内科学会/日本皮膚科学会/日本透析医学会/日本性感染症学会/日本泌尿器内視鏡学会/

http://bando-clinic.com/

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