キスは性病感染するのかしないのか、するとしたらどのようなキスで、感染を防ぐにはどうしたらいいのかなど、この記事ではキスと性病にまつわるあれこれを説明します。
外国ではキスは挨拶代わりだし、まさか性病に感染することはないだろうと考えている方も多いかもしれませんが、キスは意外に怖いです。
1、キスだけで性病に感染するのか?
性行為をしている最中にキスやオーラルセックスなどを組み合わせている場合、性病に感染するのはなんとなく理解できるかもしれません。
しかし、単にキスだけで性病に感染することはあるのでしょうか。
(1)キスだけでも感染します
キスだけでも性病には感染します。
正確には粘膜がふれあい唾液を交換するようなキスで感染します。
つまり舌を絡めるようなディープキスは性病感染リスクが高いです。
逆に唇や頬などの皮膚の表面だけが触れ合うようなフレンチキスではあまり感染リスクはありません。
つまり、欧米人がよくするような挨拶代わりのキスは感染リスクが低いです。
またグラスやカップなどでの間接キスもほとんど感染リスクはありません。
グラスに乾いていない唾液がよほど大量についており、それを舐め回すようなことをすれば感染する可能性はなくはないですが、そのような状況はあまり想定できないでしょう。
(2)キスだけで性病に感染する理由
なぜディープキスのようなキスで性病に感染するのでしょうか。
それは口内や喉の粘膜には性病の菌が住みついており、それを舌で直接交換することで感染するのです。
特に口内炎や歯肉炎などに代表される口の中の傷がある人は体内に菌が侵入しやすくなるので、非常に高い感染リスクを持っています。
(3)感染確率
キスに限定した場合の性病への感染確率のデータは出ていません。
しかし、不特定多数の人とディープキスをすることが多い人は行った回数分だけ感染しているリスクがあり、人にうつしている可能性があると認識する必要があります。
例えば、セクキャバやピンサロ、おっパブなど、ディープキスありのお店をよく利用する男性や勤務している女性キャストなどは、キスからの性病感染リスクが高いです。
2、キスで感染する可能性のある性病の種類と症状
キスからはどのような性病に感染する可能性があるのでしょうか。
性病の菌が口から近い咽頭に定着するので、咽頭○○という病気は感染率が高いですし、梅毒のように血液で全身に菌が運ばれる病気にかかるケースもあります。
(1)咽頭クラミジア
咽頭クラミジアはクラミジア・トラコマチスという菌が咽頭に感染する病気です。
クラミジアは性器やその周辺に感染するイメージがあるかもしれませんが、粘膜のあるところならどこでも感染しうる性病です。
潜伏期間は1〜3週間と個人差が大きいのも特徴。症状は風邪と非常に似ており、のどの痛み、腫れ、咳、発熱などが起こります。
風邪薬を飲んでも調子が良くならない場合は咽頭クラミジアを疑った方がいいかもしれません。
また、ディープキス以外に性行為をしている場合、咽頭クラミジアだけでなく性器のクラミジア にも感染している可能性が高いです。
(2)咽頭淋菌
咽頭淋菌もクラミジア と似ており、咽頭に感染し、風邪のような症状が出ます。
こちらは潜伏期間は短く2〜7日。
咽頭淋菌と咽頭クラミジアに両方感染しているケースも多く、風邪薬を飲んでも治りません。
もちろん性行為をしている場合、性器への感染も疑われます。
(3)咽頭マイコプラズマ
マイコプラズマ・ホミニスやマイコプラズマ・ジェネタリウムという菌が咽頭に感染することで咽頭マイコプラズマになります。
症状はこちらも風邪に似ており咽頭の痛みやイガイガ、咳など。
潜伏期間は1〜5週間とかなり幅があります。
常在菌として知らずに保菌している人が多いです。
(4)咽頭ウレアプラズマ
ウレアプラズマ・パルバムやウレアプラズマ・ウレアリチカムという菌が咽頭に感染することで咽頭ウレアプラズマになります。
咽頭マイコプラズマと同じような症状、潜伏期間なのでマイコプラズマ・ウレアプラズマとしてまとめて扱われることが多いです。
(5)梅毒
梅毒は直接的な性行為で感染するイメージが強いですが、粘膜の接触や唾液の交換を通して梅毒トレポネーマが媒介され、血液を通して全身に運ばれます。
キスからでも感染する性病です。
梅毒は一昔前は死にいたる性病として最も恐れられてきました。
現在は早期発見治療が可能なので、重症化するケースはほぼありません。
ただし、放置しておくと神経や心臓、その他の臓器が障害されて、生命に関わってきます。最初の症状としては感染後3週間以内に感染部位にしこりができたり、鼠蹊部(そけいぶ・股の付け根)が腫れたりします。
これは痛みも伴わないことが多く、自然に消えますが治った訳ではなく、無症状の期間も体は梅毒に侵されているので注意が必要です。
キスで感染した場合は口内や喉にしこりができるため、違和感を感じたら検査が必要です。
(6)口唇ヘルペス
口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルスが唇や唇の周りに感染することで発症します。
ヘルペスは必ずしも性病とは限りませんが、キスで粘膜が触れ合うことで感染リスクがあるのは事実です。
感染すると水膨れやただれが発生します。
治ったように見えても体内に定着しており、疲れたりストレスによって再発することがあります。
3、性病にかかった際のリスク
性病にかかるとどのようなリスクがあるのでしょう。
痛い、辛いのはもちろん、目に見えない部分へのダメージや周囲へ迷惑をかけることにもつながります。
性病は放置しておいても治らないので、違和感を覚えたら検査をすることが大切です。
(1)性病は自然治癒しない
例えば前述した梅毒のように、特に痛み等がなく気付いたら勝手に症状がなくなったという性病があります。
また、他の性病であっても体調等の影響で症状が和らいだり、症状に慣れたりして気にならなくなることもあるでしょう。
しかし、性病は自然治癒しません。
例え表面に現れなくても体内では確実に悪化が進んでいます。
性病の疑いがあれば必ず検査を受け、陽性であれば投薬治療を受ける必要があります。
(2)知らず知らずのうちに他人に移す危険性
性病を放置することで、他人にうつしてしまいます。
特によく風俗に行く男性や勤務している女性キャスト、また不特定多数と性行為を行う方の場合は、日常的に他人に感染させている可能性があり、また自分も複数の性病に感染している可能性が高まります。
(3)放置すると他の病気を引き起こすリスク
性病を放置することで咽頭炎や扁桃腺炎など、他の病気を引き起こすリスクがあります。
また、性病は不妊の原因にもなります。
梅毒であれば臓器へのダメージによって様々な疾患を招きます。
4、少しでも違和感を感じたらまずは検査を
少しでもキスの後に違和感を感じたら検査を行いましょう。
どのような検査方法があるのか、手順を紹介します。
(1)検査方法
検査方法は大きく分けて2つあります。それぞれのメリットと合わせて紹介します。
①医療機関で検査(何科で受診なのか。費用など)
医療機関で保険診療での検査を受けた場合、「3,000円~5,000円」が相場です。
咽頭に症状が出ているのであれば、まずは耳鼻科に行って診断してもらいましょう。
風邪の症状と間違わないために、医師の正確な診断が重要です。
いつからどのようなタイミングで違和感を覚えるようになったのかなどしっかり伝えることも大切です。
②検査キットを利用して気軽に自宅で検査
性病検査キットを利用する方法であれば自宅で手軽に性病かどうかわかります。
病院に行かなくて良いので楽ですし、誰にも知られる心配がありません。
保険診療を医療機関で受けた場合は、年末に医療費のお知らせが届くことで性病の検査や治療を受けたことが家族や職場にバレてしまうことがあります。
しかし、検査キットは保険診療ではないため、その心配はありません。
費用は「4,000円~10,000円」が相場です。
(2)郵送検査キットの種類
郵送検査キットにも様々な種類があり、咽頭の場合は症状にあったものを選ぶことが大切です。
キスでうつった性病はどのような検査キットを選べば良いのでしょうか。
①淋菌とクラミジアまたその両方とカンジダを検査出来るもの
咽頭への感染している可能性が高い性病の代表は咽頭クラミジアと咽頭淋菌です。
同時感染している人も多いので、両方検査できるキットが望ましいです。
また、特に女性の場合、自覚症状がない性病としてカンジダがありますので、同時に検査できるキットを使えばお得ですし、健康上や周囲へのリスクを下げられます。
②検査方法:うがい、初尿、性器で検査
検査方法はキットによって異なりますが、うがいや初尿から検体を採取します。
また、綿棒を使って喉や性器から粘膜を採取する方法もあります。
検査キットの説明に従って検体を採取しましょう。正しいやり方でないと正しい検査結果が得られません。
(3)陽性であれば治療を
陽性と診断されたら病院で治療を受けましょう。
基本的には泌尿器科や産婦人科を受診すれば大丈夫です。
病院によっては治療を受ける前に、改めて病院の検査を受けなければならないことがあるため、検査キットの結果をもとに治療をしてもらえるのか受診前に電話等で確認したほうがいいかもしれません。
ちなみに性病科は悪徳診療を行っているケースが多いため、受診してはいけません。
保険診療が効かず高額な医療費を請求され、不要な治療を上乗せされる等リスクがあります。
5、キスで性病に感染しないための予防方法
キスで性病に感染しないためにはどのような点に気をつければいいのでしょうか。
基本的には粘膜に触れず唾液の交換を避けるという考え方になります。
(1)自分や相手の口の中に、口内炎や傷があるときはキスNG
性病の菌は傷口から血液を通して体内に行き渡ります。
口内炎や傷による出血がある場合はキスをしないことで性病感染のリスクを下げられます。
(2)行為前に口内が傷つく歯磨きはしない
歯磨きをすることで口内に傷がつき出血につながります。
普通の歯磨きに加え歯間ブラシなどで歯茎を強く刺激するのも出血のリスクが高くなります。
そのため、性行為の前は歯磨きではなく、うがい薬やマウスウォッシュでの洗浄に留めておきましょう。
(3)執拗なディープキスは控える
たとえ出血していなくても、ディープキスで唾液を交換することで性病感染リスクは上がります。
接触が長ければ長いほど感染につながるため、執拗なディープキスは避けることも重要です。
(4)特定のパートナーだけにする
もちろん、特定のパートナーだけとの性行為やディープキスであれば問題はありません。
お互いが節度をもって性行為を楽しむことで、リスクは下げられます。風俗店を利用する男性や勤務している女性はなかなか難しいですが、お店では上記のような点に気を付ける必要があります。
本気の性行為は特定のパートナーだけにしておきましょう。
まとめ
キスでも性行為に感染するリスクはありますが、今回紹介したような方法で感染回避することができます。
もしディープキスをした後調子がおかしいと感じたら、風邪だと思い込むことはせずに、検査キットを使って検査してみるのが安心です。
記事監修
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東京慈恵会医科大学での泌尿器科診療をはじめ、内科や、腹腔鏡手術や内視鏡手術などの先端医療、皮膚科専門医の指導を受け皮膚科疾患診療にも従事。
〈資格〉日本泌尿器科学会 専門医・指導医/日本がん治療認定医/日本性感染症学会 認定医/日本医師会認定 産業医/泌尿器腹腔鏡技術認定医/難病指定医/緩和ケア研修終了/ 〈所属学会〉日本泌尿器科学会/日本内科学会/日本皮膚科学会/日本透析医学会/日本性感染症学会/日本泌尿器内視鏡学会/
http://bando-clinic.com/
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