淋病の原因を解説|心当たりがない時の感染経路は?対処法など

淋病 原因

淋病の原因がわからない。

「淋病ってよく聞くけど、感染原因や症状についてよくわからない」という方は、少しでも淋病に感染するリスクを犯してしまったか、身体になんらかの症状が表れている方ではないでしょうか。

淋病は感染率が高く、症状が出ないケースも多いため、「心当たりがない」のに感染してしまう(うつしてしまう)ケースも少なくありません。

本記事では、

  • 淋病の原因と感染経路
  • 淋病の症状

などについて解説していきます。

「ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前」院長であり泌尿器科専門医かつ性感染症認定医である坂東が監修した内容となっているので、ぜひ参考にしてください。

他にも性病の検査費用は?安く手軽な検査方法や治療法について気になる方はこちらの記事も合わせてご覧ください。

1、淋病の原因と感染経路

淋病は淋菌という細菌によって起こる感染症です。淋菌は感染部位の粘膜や分泌物、尿などに存在し、性行為を介してうつります。出産時に母親から子どもへの感染が起こる恐れもあります。

(1)膣・肛門性交

女性器・直腸が感染すると膣や直腸の粘膜や分泌物に淋菌が出現し、性交により男性の尿道にうつります。

男性器への感染では尿道に分泌物(膿)が生じます。このなかに淋菌が含まれており、性交時に尿道から膣・肛門に分泌物が移動して感染が起こります。

精液や尿が尿道を通る際に淋菌を運び去るため、精液・尿を介した感染も起こる可能性があります。コンドームをつけない状態での射精や、尿を使った性行為は危険です。

1回の性交で女性の膣から男性器にうつる確率は20%程度で、男性器から女性器にうつる確率はそれよりもやや高いとされています。

(2)オーラルセックス

淋菌は喉にも感染します。感染したペニスや膣、肛門にオーラルセックスを行った場合、喉の淋病(咽頭淋病)にかかる恐れがあります。逆に、咽頭淋病にかかっている人がオーラルセックスを行うことで性器・肛門に淋病をうつす可能性もあります。

咽頭淋病はオーラルセックスが普及するにつれて増加しました。膣性交の際にはコンドームを使用してもオーラルセックスでは使用しないカップルが多いという問題があります。

コンドームを使わないフェラチオを主なサービスにしている性風俗店では従事者の咽頭淋病の感染率がとくに高いことが知られています。

(3)キス

キスによって咽頭淋病がうつるという可能性は否定できません。
通常のやり方であれば感染を起こすほどの淋菌が移動するとは考えにくく、キスだけで感染する確率は極めて低いでしょう。

(4)タオルや衣類での感染は?

淋菌は生息場所(人体内の粘膜)から離れると数時間で感染力を失います。また、日光や乾燥、温度変化などにさらされると死滅します。そのため、淋菌感染者が使用したタオル・衣類などを介して間接的に淋病にかかることはあまり考えられません。

ただし、淋病の分泌物・膿が付着した指などで粘膜をこすったりすれば感染する恐れがあります(例えば眼をこすって結膜炎を起こすことがあります)。

(5)母子感染

女性の場合、淋菌は膣の奥と子宮をつなぐ管状の部分(子宮頸管)に生息するのが一般的です。母親の性器が淋病にかかっていると、分娩時に新生児が子宮頸管を通り抜ける際に眼が淋菌に感染し、結膜炎を発症することがあります。

2、淋病が原因となる症状

淋病は女性よりも男性にはっきりした症状が現れやすいという特徴があります。

(1)男性器に感染した場合

感染してから2~7日経つと、おしっこをしたときに痛みを感じ、尿道に黄白色の分泌物(膿)が現れて尿道の先から漏れるようになります。

感染が進むと、精巣(睾丸)の隣りにある精巣上体が腫れ上がって陰嚢が大きく膨れたり、強い痛みが生じたりします。放置すると無精子症(精液に精子が含まれない状態)になる恐れがあります。

(2)女性器に感染した場合

おりものの増加や不正出血が一般的な症状で、排尿異常が起こります。ただし、女性の場合は自覚症状があまりありません。放置すると骨盤内部(卵管など)にも感染が広がり、子宮外妊娠や不妊症の要因になることがあります。

非常にまれですが、淋菌が血管内に入り込んで全身に回り、関節痛や発熱、倦怠感、皮膚の病変(膿を含んだ水ぶくれ)などの症状を引き起こす場合もあります。

(3)喉・直腸に感染した場合

喉・直腸への感染では男女とも無症状のケースが大半です。

喉への感染では喉のはれや痛みが生じることがありますが、風邪を引いたときや喉を使い過ぎたときの症状とほぼ変わりません。直腸への感染ではまれに肛門のかゆみや下痢・血便が起こることがあります。

3、淋病の感染経路に心当たりがない場合の原因は?

淋病は感染しても無症状か症状が軽い場合がかなりあります。とくに女性器や咽頭への感染では無症状の場合が多いため、検査や治療を受けないまま放置してしまいがちです。

こうしたことから淋病は感染が広がりやすい性質を持っており、いつの間にか感染していたり、逆に感染させているケースがよくあります。

また、咽頭淋病やオーラルセックスによる感染について知らない人が多いことも、感染を広げる原因となっています。「コンドームは膣に挿入するときに使えば十分」と思い込んでいると、コンドームを着用しないオーラルセックスで淋病に感染した可能性に思い当たらず、「どうして?いつの間に?」と首をひねることになります。

性行為以外で感染することは普通は考えられませんので、淋病に感染した(らしい)けれども心当たりがないという方は、最近の「普通の」性行動を思い返してみましょう。

4、淋病の原因に心当たりがあれば早期の検査・治療を

淋病は自然に治ることありません。感染を広げないためにも早期に検査・治療を受けることが大切です。感染が判明した場合はパートナーにも検査・治療を受けてもらう必要があります。

(1)まずは淋病に感染しているかを検査で確かめる

淋病は感染確率が高いだけでなく、無症状の感染者から感染したり、感染しても症状が出なかったりすることが多い病気です。したがって、淋病特有の症状(男性尿道の膿など)が出ていない場合にも、感染機会に心当たりがあれば検査を受けたほうがよいでしょう。

男性器への感染が疑われる場合は尿検査を行って淋菌を検出します。女性器・直腸の場合は綿棒で患部を拭って検査物を採取し、咽頭の場合はうがいをした水(うがい液)を採取します。

クリニックや検査機関では、それぞれの方針により、「感染機会から24時間以上経過後」「2~3日以上経過後」「1週間以上経過後」といった検査タイミングが推奨されていますが、基本的には感染後24時間〜1週間経過すれば検査は可能です

検査は医療機関を受診するか市販の検査キットを利用することで受けることができます。

①医療機関を受診して検査

男性は泌尿器科、女性は婦人科で性病一般の検査が受けられます。医療機関であればすぐに治療に移行できるため、すでにはっきり症状が出ている場合には医療機関での検査がおすすめです。

②自宅で検査キットを使用して検査

検査機関から検査キットを通信販売で購入し、自宅で検査物を採取して送り返すだけで検査が受けられます。性病検査で医療機関を受診するのに抵抗のある方や、症状はないものの感染の不安がある方などにおすすめできます。

医療機関では診察に基づいて医師が検査すべき性病を選択してくれますが、検査キットの場合は自分で選ぶ必要があります。検査すべき性病を特定できない場合は、複数の性病検査がセットになった検査キットを利用するとよいでしょう(1つ1つ検査するよりも割安です)。複数の性病(淋病とクラミジア、など)に感染している場合にも対応できます。

(2)淋病に感染していたら治療を受ける

淋病は抗菌薬により治療します。日本では点滴または注射で抗菌薬を投与する治療が行われるのが一般的です。男性の尿道、女性の子宮頸管、男女の咽頭・直腸の感染では1回の点滴または注射で完治できます。

淋病に対する抗菌薬は多種多様なものが存在しますが、近年は薬剤への抵抗力(薬剤耐性)を持つ淋菌が増えています。十分な治療効果を期待できる治療薬は限られているため、専門的な診察・検査により治療薬を選択しなければなりません。個人輸入代行サイトなどのジェネリック薬を利用することは避けてください。

5、淋病の原因がわかったら予防対策をしよう

上記のような淋病の原因や症状がない場合は、淋病に感染している確率はほぼありません。
その場合は、これからの感染を防止するために予防対策をしましょう。

(1)正しくコンドームを着用する

淋病(に限らず多くの性病は)オーラルセックスによっても感染するため、膣性交だけでなくオーラルセックスの際にもコンドームを装着することが大切です。肛門性交でもコンドームが必要です。

よく知らない相手と性行為をする場合は、コンドームの適正使用をとくに厳重に考えてください。

(2)不特定多数の性行為は避ける

一般的に、不特定多数との性行為は性病感染のリスクを高めます。とくに淋病は見て分かるような症状が出ず、感染者当人も感染を自覚できない場合が多いため、不特定多数との性交は危険です。不特定多数との性交を行っているような相手との性交も避けるべきです。

まとめ

淋病は膣・肛門性交、オーラルセックス、尿を使った性行為などが原因となって感染します。感染率が高く、無症状のケースも多いことから、いつの間にか感染していることは珍しくありません。気になる症状があるか、感染機会に心当たりがある場合はすぐに検査を受けましょう。

記事監修

坂東 重浩ばんどうクリニック堀切菖蒲園駅前 院長
東京慈恵会医科大学での泌尿器科診療をはじめ、内科や、腹腔鏡手術や内視鏡手術などの先端医療、皮膚科専門医の指導を受け皮膚科疾患診療にも従事。

〈資格〉日本泌尿器科学会 専門医・指導医/日本がん治療認定医/日本性感染症学会 認定医/日本医師会認定 産業医/泌尿器腹腔鏡技術認定医/難病指定医/緩和ケア研修終了/ 〈所属学会〉日本泌尿器科学会/日本内科学会/日本皮膚科学会/日本透析医学会/日本性感染症学会/日本泌尿器内視鏡学会/

http://bando-clinic.com/

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